東大関・豪栄道が痛恨の2敗目を喫し、今場所後の横綱昇進が遠のいた。西関脇・隠岐の海との一番に、物言いの末に軍配差し違えで敗れた。平成以降に誕生した横綱9人中、綱取り場所で中日までの2敗は2人。昇進確率22%と狭き門の突破を目指し、9日目の大関・稀勢の里戦から始まる上位対決に臨む。西横綱・鶴竜が唯一無敗を守って勝ち越し。1敗は東横綱・日馬富士、東横綱・白鵬、東前頭15枚目・石浦の3人。
沈痛な空気が豪栄道の周りを取り囲んだ。2敗目を喫した直後の東支度部屋。「なんとも言えないですね。足が出た感覚? なかったんじゃないかな。もう一丁でも? それは分からないですけど…」。いつもはリズムよく続く記者とのやり取りが続かない。
隠岐の海に左を差されて押し込まれた。苦し紛れに右から繰り出した今場所初の首投げは不発。相手が倒れると同時に土俵を割った。軍配は綱取り大関に上がったが物言いがついた。隠岐の海は「(豪栄道の)足は出ていない。僕が負けていた」と敗戦を予感。だが土俵下の友綱審判長(元関脇・魁輝)は「(左)かかとよりも体が土俵の中になかった」と判定の理由を毅然(きぜん)と説明した。行司差し違えで勝敗が覆り、場内にため息が充満した。
平成以降に誕生した横綱は9人中7人が1敗以上で中日を折り返し、13勝以上で優勝している。勝っていれば数字上は秋場所後の横綱審議委員会で設定された13勝以上の優勝につながっていたはずだった。同委員会の守屋秀繁委員長は「かなり厳しい。よく勝ったという相撲があったが今日は『よく勝った』にならなかった。地力が足りない。よほど(同じ2敗の)稀勢の里のほうが地力が発揮されている」と厳しかった。
本調子ではないことは、豪栄道自身がよく知っている。「内容は良くないですよ。(6日目の初黒星から)バタバタしている」。狂ったリズムのまま、残り7日間は6人の横綱・大関と対戦する。9日目は先場所まで綱取りに挑んでいた稀勢の里と激突。「振り返っても仕方ない。あしたから気合を入れてやりますよ」。早くも瀬戸際に追い込まれた綱取り物語は、大団円を迎えられるのか。(網野 大一郎)
(スポーツ報知)
優勝できるか。
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