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2016年11月26日土曜日

<年金法案採決>与党迅速、批判封じ 野党は「強行」演出

 与党が25日の衆院厚生労働委員会で年金制度改革関連法案の採決に踏み切ったのは、与野党対立が深まる中で今国会中の成立を確実にするためだ。法案成立に向け、政府・与党は今国会の会期延長を決めたが、延長幅は最小限にとどめる方針だ。野党からの批判を早期に封じようとする本音も見え隠れする。

 「私が述べたことを全く理解していないようでは、何時間やっても同じだ。間違った認識に基づいて相手を非難しても民進党の支持率が上がるわけではない」。安倍晋三首相は25日の衆院厚労委で、「年金カット法案」と繰り返して批判する民進党の柚木道義氏に色をなして反論した。

 柚木氏は基礎年金を巡り、「団塊ジュニア世代が年金を受給する2040年代には30%カットされる」と追及。首相は、3割減は年金額ではなく、現役世代の平均手取り収入に対する年金額の割合だと説明した上で、「レッテル貼りで、デマゴーグだ」「民主党政権はこの財政検証を基に運営していたのに、何もしなかった」と批判し、野党議員が反発して騒然となった。

 政府を悩ませたのは、「年金カット」などの野党の批判だ。法案審議は今年の通常国会からの継続で、来年の通常国会に持ち越されれば3国会にわたって批判を浴びる。そうなれば政権へのダメージとなり、来夏の東京都議選にも悪影響を与えかねない--。与党が採決を急いだのはこうした懸念からだった。

 一方、採決時には野党の厚労委理事が丹羽秀樹委員長(自民)を取り囲み、約20人の野党議員が「年金カット反対」「強行採決反対」のビラを手に「国民の声を聞け」などと大声を張り上げた。

 野党が「強行採決」と印象づける「演出」にこだわったのは、早期の衆院解散を警戒しているためだ。民進党の蓮舫代表は25日、所属議員に「解散風はビュンビュン吹いている。台風だ」と漏らした。採決後は記者団に「あまりにも乱暴で立法府を軽視した採決の是非を問わせていただきたい」と次期衆院選で争点化する考えを示したが、解散を意識した発言は、野党共闘を含め選挙準備が遅れていることへの危機感の裏返しとの見方が与党からは出ている。【阿部亮介、葛西大博】
(毎日新聞)

 超高齢化社会で年金カットか、社保の負担率引き上げのどちらを選択するかは、国民的議論が必要だろう。

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