◆秋季高校野球東京都大会 ▽決勝 早実8x―6日大三(3日・神宮)
来秋ドラフトの目玉、早実・清宮幸太郎一塁手(2年)が秋季東京都大会決勝の日大三戦で、公式戦初の5打席連続三振を喫しながらも逆転サヨナラ勝ち。4強入りした1年夏以来の甲子園となる、来春センバツ出場を確定させた。9回に2点差を追いつくと、主将が三振した直後、1年生4番・野村大樹が劇的2ラン。斎藤佑樹(現日本ハム)を擁した05年以来11年ぶり10度目の優勝で、4年ぶりのセンバツ切符を確実にした。11日開幕の明治神宮大会には、東京地区代表として出場。12日に神宮で静岡(東海)と初戦を争う。
頼もしい仲間たちの手で、清宮主将の体が5度、神宮の宙に舞った。ナイターに照らされた胴上げ。「人生で初めて。不思議な感覚。気持ちよかった」。瞳は潤みっぱなしでも、「泣いてないですよ」と強がった。
日大三のプロ注目左腕・桜井周斗のスライダーに手も足も出なかった。2点を追う9回に1点を返し、なおも無死一、三塁の好機。出番が回ってきた。2球目に暴投で同点となったが、無死二塁で低めのボール球を振らされた。高校通算74発の主砲が、まさかの5打席連続三振。次打者の野村に「後は頼む」と伝えた直後の初球だった。サヨナラ2ランが右翼席に消えた。「こんなに三振したのは初めて。周りに助けられた。野村は男だな、と思った」。ミラクル逆転Vで、センバツ確定―。大急ぎでフットガードを外し、両手を挙げて弟分を迎え入れた。
不振は自覚していた。初戦、2回戦で計3発も、チームが勝ち上がるにつれ、自身の状態は「反比例していた」。準々決勝以降は11打数1安打。「余裕がない。間とか、球が見えていない」と漏らした。5回に見逃しの3球三振。9回は暴投で追いつき、打席内で気が楽になったが、結果は変わらず。「甘い球もあった。仕留められないとダメですね」。出塁ゼロも高校の公式戦34試合目で初だった。
しくじり先生になった。「(相手の)球が切れていた。やってきた投手の中では、断トツ」。ベンチでは「低めに手を出すなと言ったのに、自分がやっている。『自分みたいになるな』と声をかけた」。和泉実監督(55)が「清宮が三振してくるから、誰か打て」と発すると、「俺、打てないから」と自虐的に続け、周囲を盛り上げた。
大会中のミーティングから「勝てなかったら、これが最後だ」と呼び掛け、9回の攻撃前の円陣でも「悔いなく、今までやってきたことをすべて出し切ろう」と鼓舞。ベンチでは叫びすぎ、声はかれた。「誰かが失敗しても、助けてくれるチーム。個人としてより、主将としてうれしい。試合を重ねるごとに力を出せるようになった」と優勝旗を握る手に実感を込めた。
斎藤を擁した05年以来の秋の都大会制覇。「分かっていた。壁を乗り越えようと。ここで勝たないと、やってきたことが全部ムダになると言ってきた」と清宮。神宮大会からセンバツへ。「チーム力に自分の打撃をプラスできるように、全員でパワーアップしたい」。1年夏より大人になった背番号3が、全国の舞台に帰ってくる。(山崎 智)
▼1試合最多三振(9イニング) プロ野球は今年4月20日オリックス戦の茂木栄五郎(楽)まで、15人(セ7人、パ8人)が記録した5三振が最多。社会人野球、夏の都市対抗野球大会は29年鶴田(全大阪、対長野保線戦)の5三振。夏の甲子園大会も、07年楠本諒(智弁和歌山、対仙台育英戦)ら4人が5三振を記録。
(スポーツ報知)
5三振はどうなんだろうか。
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