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1軍での登板機会は11。うち先発は3ゲーム。こうした散々な成績とは裏腹に、今年の「元王子」はグラウンド外で結構目立っていた。
夏には出版社の社長にポルシェをおねだりしていたことが報じられたし、日本ハムがリーグ優勝した際のビールかけで「今年は活躍できなかった」と口走って、ファンは「今年『も』だろ!」とツッコミを入れた。日本一となった後の10月末には、スポーツ紙の記者に「V旅行は全員参加なんですか? 断ることはできるんですか?」と問うたことが記事になったのだ。
「今年の日ハムのV旅行は12月の中旬、ハワイに5日間の予定ですが……」
と首を傾げるのは、さるスポーツ紙のデスクである。
「旅行は既婚者が奥さんサービスで行くケースが多く、独身の選手で行かない者はよくいます。斎藤も4年前にリーグ優勝した際は参加しましたから義務でないことは知っているはず。わざわざ記者に聞いたのも“自分の立ち位置わきまえてます”とのアピールではないかと勘繰ってしまいます」
斎藤は囲み取材の際に記者証をよく凝視するそう。記事を過度に気にしているらしいが、あれほど記者を引き連れていた人がそれとは、思わずハンカチで目頭を押さえたくなるのである。
■トレード志願
「球界では嘲笑の対象になってしまっていますね」
と言うのは、全国紙の運動部記者である。
「同学年の巨人の坂本勇人は常々“恥ずかしいから俺たちをハンカチ世代って言うな!”と言っていますし、他球団の2軍選手にすら“対戦したけど、棒球でバッティングピッチャーみたいだ”と笑われていました」
さるスポーツライターはこんな逸話を披露する。
「斎藤の身体を触ったトレーナーが“よくこの身体でやっているな!”と感心していました。それほど骨格や肉の付き方が他の選手と違うのです。Bクラスに生まれついた選手はどう頑張ってもAクラスにはなれない。生き残るためには、変則的でとびぬけた一芸を身につけるしかありません。彼は高校、大学と日本一になったプライドが邪魔してか、本格派に拘り、割り切ることが出来ないのです」
とは言え、ここまで6年間で通算14勝、直近4年に限ればわずか3勝の成績では、いつ戦力外通告されてもおかしくない。
日ハムの先輩・野球解説者の金石昭人氏は、
「生き残るためには、トレードを志願するしかないんじゃないかな。ユニフォームも球場もチームメイトもすべてをガラッと変えて、一から出直さないと、本当におしまいだと思います」
と言うけれど、秋季練習に勤しむ斎藤選手ご本人に聞くと、
「旅行のことはまだわかりません。来季の目標? 僕は目標とか言ってる立場じゃないんで。頑張るしかないんです」
そう言えば、「ハンカチ王子」には「持ってる男」との異名もあった。来季はどん底から大復活の「超常現象」をぜひ期待したいものだ。
ワイド特集「神帰月の超常現象」より
「週刊新潮」2016年11月17日号 掲載
新潮社
大復活を期待しているけど・・・
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