早実(東京)の1年生4番・野村大樹三塁手が、高校の部・準決勝の福岡大大濠(九州)戦で高校通算23号を放ち、先輩・清宮幸太郎一塁手(2年)の1年秋終了時の22発を超えた。あと二塁打でサイクル安打の3安打4打点。76年以来40年ぶり2度目の優勝に王手をかけた。清宮は無回転の二塁強襲二塁打など全5打席出塁。斎藤佑樹(現日本ハム)を擁した05年4強を超え、80年準V以来36年ぶりの決勝進出。NKコンビが、15日に履正社(近畿)と雌雄を決する。
小柄な172センチの体に詰め込んだパワーを、一気に放出した。ルーキーの野村が左中間最深部に運んだアーチは、高校通算23本目。全国の舞台で放った初の一発で、清宮の1年秋時点の22発を上回った。横浜・筒香嘉智(19本)、星稜・松井秀喜(16本)らもしのぐハイペースだ。「清宮さんからは『超えたな、次も打てよ』と言われました」。一塁走者としてホームで出迎えた先輩と、満面の笑みでハイタッチを交わした。
4点リードから1点差に迫られた直後の7回無死一塁。「正直、狙いました。流れが悪かったし、追加点が欲しかった。自分が決めないと」。13日の明徳義塾戦で完封したプロ注目の最速144キロ右腕・三浦銀二(2年)の真ん中直球を仕留め、4番の一撃で流れを引き戻した。
初回にスライダーをおっつけ、中前に先制打。3回には内角直球を引っ張り、左翼フェンス直撃の適時三塁打で3安打4打点。高校入学までの捕手経験を生かし、ともに追い込まれてから配球を読み切った。中学時代から2ストライク後は、ノーステップ打法に切り替え、バットを指2、3本分短く持つ。「4番が三振したら、士気が下がる。だから、自分は絶対に三振しちゃいけない。今日(5回に)しちゃったんですけど」と白い歯をのぞかせた。
怪物の先輩も舌を巻く。全5打席出塁で2得点の清宮は「野村がたくさん打ってくれたので。自分もその前に全部出ることができたので、それが勝利につながったかな」。3番として5試合連続打点なしでも、チャンスメイクで4番の奮闘を呼ぶ。「頼もしい。野村の前にランナーがいれば、点が入る。自分が打てなくても、後ろにつなげば、必ずかえしてくる信頼感がある」とうなずいた。
8回の打席で二塁打が出れば、サイクル安打だったが、野村は気づかず。「試合後に、やらかしたかなって」と頭をかいた。決勝進出は、1年生エースの荒木大輔(元ヤクルト投手コーチ)を軸に準優勝した80年以来。「平成の大ちゃん」は3日の東京都大会決勝・日大三戦で9回に劇的な2ランを放ち、逆転サヨナラVを決めている。40年ぶりの頂点へ。決勝で再び大仕事をやらかす。(山崎 智)
◆野村 大樹(のむら・だいじゅ)2000年9月10日、大阪府生まれ。16歳。宝塚小1年で軟式の末広ルーキーズで野球を始める。京都・同志社中時代は、大阪福島シニアで2年まで三塁手、3年時に捕手。U―15日本代表。早実では1年夏から4番・三塁。憧れの選手は西武・森友哉。172センチ、82キロ。右投右打。
(スポーツ報知)
清宮よりも良いかもしれない。
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