とうとう新規感染者が10万人を超えた。現在の感染者のほとんどはオミクロン株によるものだが、デルタ株による感染も根強く残っている。実はこのデルタ株の新たな変異株が現れ、既に感染者が出始めていた。番組では、東大先端研の児玉名誉教授をスタジオに招き、現状と対策などを聞いた。 ■第5波のデルタ株は、たまたま壊れやすい株だったが… 去年の夏、第5波と呼ばれる感染のピークがあった。これはデルタ株によるのもで、致死率、重症化率は、現在主流のオミクロンより遙かに高かった。欧米ではデルタ株が猛威を振るったが、日本ではなぜか早々にピークアウトした。だがこのデルタ株、今も侮れないと児玉名誉教授はいう。 東京大学先端科学技術センター 児玉龍彦 名誉教授 「第波の時に日本に入ってきたのはAY29という特殊な(デルタ)株で、NSP14という変異があって壊れやかったから、すーっと引いた。でもアメリカ・ヨーロッパでは、かなりしつこくありました」 オミクロンが主流になり今やデルタは話題に上がらないが、東大先端研では去年暮れあたりからデルタの変異種に注目しているという。去年、研究室で民間PCR検査に寄せられた検体をゲノム解析していたところ奇妙なものがあることが分かったという。これまではPCR検査で使われる2つの試薬の両方ともに陽性反応をとなっていたデルタだが、そのひとつをすり抜けるデルタ株が現れたというのだ。ゲノム解析をしなければわからなかった事実。このデルタが両方の試薬をすり抜けるものに変異する可能性にも注意をしなければならないという。さらに軽症が多いといわれるオミクロンが流行しているため、民間検査で陽性となって自宅療養すると、変異したデルタである可能性もあり、重症化の危険性も高いという。 東京大学先端科学技術センター 児玉龍彦 名誉教授 「(デルタ株の変異種によって今のオミクロンが収束したあと、第7波になる可能性もある?)はい。そういうことです。オミクロンにもBA1に対してBA2というのが増えてきています。ウイルスの“進化”の様子を注意して見て、きめ細かく対応を立てないといけない」 既に新しいデルタ株は、100か国以上で確認され、日本でも300例が報告されている。 ■「今のワクチンは3回までしか効かない」 現段階で重症化しないための最善策はワクチン接種であり、3回目の接種を急ぐべきだと児玉先生も言う。 東京大学先端科学技術センター 児玉龍彦 名誉教授 「α(アルファ)、β(ベーター)、γ(ガンマー)、δ(デルタ)というのが出てきて、α、β、γ、δは3回目までのワクチンで凄くいいということなんです。ところがワクチンを打っていると、ワクチンに抵抗性の変異が免疫不全の人で増えてきて、オミクロンみたいの出てきてしまう。すると今度は、イスラエルでみられる様に4回目のワクチンを打っても感染拡大自体はあまり効果が少ないかもしれない。今の武漢型のワクチンでは、おそらく3回目までがひとつのピークなんで、3回目までを急いで(接種して)、その間に新しい対策を考えないと、逆にワクチンの副作用の可能性も残っている」 ■「受け身ではなく、攻めの科学技術を」 ウイルスはどんどん進化を続けている。そのウイルスがどんな“顔”をしているのか、ゲノム解析を拡充すべきと、皆口をそろえる。イギリス、デンマークなどでは感染者数のほとんどをゲノム解析している。だが日本では、一向に数が増えない。国によっては企業や大学が解析に協力しているが日本では国の機関など対応する組織が限られているという。 東京大学先端科学技術センター 児玉龍彦 名誉教授 「(コロナ対応で)失敗だったのは、大学なんかが文科省の指導で最初の対応の時に施設を閉じて、大学の中で感染者を出さないっていう“受け身”的な対応だった。日本の基礎科学って結構力ありますから、例えば小型のロボットで(検査が)出来るとか、オミクロンを分けるPCRキットも発売される。そういう日本の科学技術のいいところをどんどん使って、少し“攻め”の科学技術に移る…(中略)今は大学や研究者が奮い立たないといけない時です」 進化を続けていてまだ退化していないという新型コロナウイルス。変異を逃さず、次の手を打つためには何が必要なのか。日本の科学者の知見を集結させ、先を見越した政策立案をすることが今望まれている。
(BS-TBS『報道1930』 2月4日放送より)
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今後も変異種でコロナは終わらないのでしょうか。
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