ロイター通信によると、イージス駆逐艦「ラッセン」はベトナムやフィリピンが領有権を主張する岩礁の12カイリ内にも進入しており、特定の国に肩入れしない「中立性」を強調する行動とみられている。これに対し、陸局長は「自らの行動を米国がどう説明しようと、それは彼らの事情だ」と米国の説明を突っぱねた。
陸局長は、今回の作戦が国際法などにどう違反するかについては言及しなかった。国連海洋法条約では、他国の領海内でも安全を害さない「無害通航」であれば軍艦を含む艦船の航行を認めている。しかし、中国が1992年に制定した領海法では、他国の軍艦が領海内を航行する場合には中国側の許可を得るよう義務づけている。また、中国は南シナ海のほぼ全域を9本の破線で囲った「九段線」の範囲内に主権と権益が及ぶと主張している。陸局長の発言は、こうした立場に基づいたものとみられる。
ロイター通信によると、米国防総省当局者は、ラッセンが作戦に先立ち数週間にわたって中国艦船から追跡されていたことを明らかにした。一方で別の同省当局者は、ラッセンが人工島の一つのスービ(中国名・渚碧)礁付近に近づく際、無線で中国艦船と交信していたと説明している。人工島の12カイリ以内に入った後も、中国艦船は極度に接近して追跡するような行動を取らなかったという。
北京の外交当局者によると、米国のハリス太平洋軍司令官が11月2日から5日まで訪中し、中国軍幹部と会談するという。訪中は米艦船の進入前から計画されており、米中の軍幹部が軍事交流や南シナ海情勢で意見を交換する見通しだ。
(毎日新聞)
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