日本シリーズ前哨戦は、いきなり火花を散らした。全体練習前に行われた恒例の監督会議。ルール確認が終わると、先発がすべて右腕になる見込みの工藤監督から切り出された。
工藤監督 パ・リーグはずっと予告先発でやってきている。できれば、日本シリーズも取り入れたい。いかがでしょうか?
真中監督 うちの投手の関係もあるので、できれば、予告なしでいきたいという方向ですけど、どうでしょうか?
工藤監督 ジャンケンで決めましょう!
真中監督 いやいや…。
会場に、笑い声が響く中、真中監督は冷静だった。左腕もいるだけに、簡単に合意するわけにはいかない。NPBに両監督の同意がないと予告先発は適用されない、という正規のルールを確認。
真中監督 両方がOKしないなら、しようがないということなので。
工藤監督 そうですか。分かりました。
きっぱりと拒否の姿勢を貫き、予告先発はしないことで決着した。会議を終えた真中監督は「ジャンケンする必要はないからね」と笑い、「工藤さんの笑顔にだまされなかったよ」と、前哨戦を制した。
前日のドラフト会議では歴史に残る勘違いをしてしまった。「今日ぐらいまでは引きずっているから。ただただ、恥ずかしかった」と自虐的に振り返った。ドラフト1位で指名した明大・高山俊外野手(22)の交渉権を巡り、阪神金本監督と抽選に臨んだが、外れのくじを当たりくじと勘違い。交渉権獲得のインタビューまで受けてしまった。「家に帰ったら、家族がにやにやしていたよ」と落胆は大きかった。
一夜明けて臨んだ工藤監督との攻防戦では、ルール上の“勘違い”もなく、主張を通した。14年ぶりの日本一に向けて手の内は明かさない。「いよいよ始まるなという感じ。今年うちがやってきた野球がどこまでソフトバンクに通用するか楽しみ。一球一球粘り強く戦えば勝機はあると思う。まずは先発投手が粘って試合をつくることが一番大事になる」と頼もしく話した。開き直って目の前の戦いに集中するだけだ。【栗田尚樹】
(日刊スポーツ)
うっかり真中はおもしろい。
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