9月に公式訪米した習近平国家主席は、総額4兆6000億円を使ってボーイング製旅客機300機を購入し、講演では「中国人は米国人の創造の精神を尊敬する」と述べるなど“親米”ぶりを懸命に演出した。中国の官製メディアは「緊張を緩和させ、信頼関係を築いた旅」と宣伝した。
しかし、帰国からわずか1カ月後、米中が南シナ海で軍事的な対立状況に突入したことは、習主席が訪米中、南シナ海問題で米国側の説得に失敗したことを明白に示すもので、習主席の権威は大きく傷ついた。
国際法上、人工島の周辺12カイリは「領海」とは見なされず、米軍艦艇が人工島の12カイリ以内を航行したとしても実力行使に踏み切る法的根拠はない。しかし、共産党機関紙の人民日報傘下の環球時報は今月15日の社説で「中国の海空軍の準備を整え、米軍の挑発の程度に応じて必ず報復する」と主張。外務省報道官も27日の会見で、人工島の建設は続けると宣言する一方、「中国は対抗措置をとる権利を留保する」と語った。
今後、中国海軍は付近を航行する米軍艦艇に接近したり、周辺海域で軍事演習を行う可能性がある。しかし、中国軍当局者は「軍事衝突に発展することを絶対に避けたい」と強調する。そうなると、中国が具体的にとれる報復措置は米軍との軍事交流の中止など、それほど多くはない。
中国の外交関係者は「9月に中国海軍の艦艇が米アラスカ州沖のベーリング海に進出したように、中国軍が対抗措置として再び米国の領海に進入する可能性もある」と指摘する。
一方、北京では現在、共産党の重要会議、5中総会(10月26~29日)が開かれている。共産党の改革派と保守派が真っ向から対決する時期でもあり、反習派勢力が会議で主導権を握れば、南シナ海問題を含む執行部の外交方針に対する批判が噴出しかねない。
(産経ニュース)
中国が、国際法上、米国に報復できないことは、おもしろい。
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