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2016年12月24日土曜日

糸魚川大火 密集市街地、全国に点在

 約4万平方メートルもの広範囲にわたって延焼した新潟県糸魚川市の火災は、全国に点在する人口過密地域にとっても「対岸の火事」ではない。首都直下地震でも延焼防止は大きな課題で、事前の対策が必要だが、地域の備えは万全だろうか。

 ◆特区で改善促す

 国土交通省は平成24年、耐火建築物の状況などを基準に「地震時等に著しく危険な密集市街地」を指定。対象地域は大都市圏を中心に計17都府県、計約5745ヘクタールに及んだ。同年には東京都防災会議で、東京湾北部で冬の午後6時、マグニチュード(M)7・3の地震が発生した場合、約18万8千棟の家屋が焼失するとの予測も示されている。

 こうした懸念から、東京都は首都直下地震が起きた際に建物の倒壊と火災で大きな被害が想定される木造密集地域を「不燃化特区」とし、改善を促す取り組みを始めた。

 足立区の環状7号線の南に広がる「中南部一帯地区」は昨年4月に特区に指定され、木造住宅を耐火建築物に建て替えたり、建物を解体したりした場合は固定資産税などが一定期間減免される。

 火災が起きた際に消防車や救急車が入れない幅員4メートル未満の「狭隘(きょうあい)道路」の解消も課題だ。区内道路の約3割が狭隘道路という杉並区では、道路の拡幅に向け、重点整備路線を選定するなど積極的な取り組みを進める。

 助成金や税の減免などを活用し、道路に面した敷地で建物の建て替えを行う際には、建物や門、塀などを後退してもらう。

 防災システム研究所所長の山村武彦氏は「どの木造密集地でも道路の拡張などの対応をすることが望ましいが、住民の説得には時間がかかる。一朝一夕に密集地を解消するのは難しい」と指摘する。

 ◆消防力の限界も

 地域の消防力不足も課題だ。糸魚川市によると、今回の火災で最初に出動したのは消防車6台。同市消防本部の大滝正史消防長は23日、記者会見で「うちの体制では最大規模で対応した」と強調しながらも、木造建物の密集や強風といった悪条件に、対応が追いつかなかったことを認めた。

 現場周辺は「雁木(がんぎ)」と呼ばれる雪よけのひさしが軒先でつながっていることも、延焼拡大の要因となった可能性がある。同市の米田徹市長は、観光の“売り”になっている古い街並みについて「防火のために変えることが、なかなかできなかった」と語った。

 神戸大の室崎益輝名誉教授(防災計画)は「初動が最も大切だが、地方都市の消防力の限界が露呈した。糸魚川市は国基準の危険な密集市街地に指定されていなかった。国は未指定の場所でも大規模な火災が起こりうる地域を洗い出していくべきだ」と話す。
(産経新聞)

 収用や再開発で道路拡張が急務だろう。

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