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2016年12月12日月曜日

巨人“お家芸”大補強 存在感失う、生え抜き若手有望株

 プロ野球の巨人が今オフ、若手の悲鳴が聞こえてきそうな大補強を推し進めている。広島に独走を許した2016年の二の舞はごめんとばかりに、投手、野手を問わずに実績十分の中堅・ベテランを多数獲得。新戦力の積極起用は確実で、活躍の場が狭まる生え抜きの有望株は存在感を失うばかりだ。

 巨人が“お家芸”の大補強を発動中だ。12月5日にはフリーエージェント(FA)で獲得したDeNAの先発右腕・山口俊(29)とソフトバンクの救援左腕・森福允彦(30)が入団会見。さらに日本ハムの外野手、陽岱鋼(29)についても秒読みに入った。日本ハムからは先発左腕の吉川光夫(28)をトレードで、外国人では13年に楽天の日本一に貢献した内野手のマギー(34)を戦列に加えた。

 いずれも主力級の実力者で、ツボを押さえた補強でもある。今季に自己最多の11勝を挙げた山口俊と12年のパ最優秀選手に選ばれた吉川光には先発の一角を任せられ、森福は衰えがみえる救援左腕・山口鉄也(33)をカバーできる。陽は球界を代表する外野手で、一、三塁を守れるマギーはベテランの域に入りつつある阿部慎之助(37)や村田修一(35)の保険にうってつけだ。

 山口俊と森福の入団会見に同席した高橋由伸監督は山口俊を「現役時代に対戦して力は分かっている。先発完投してもらえるピッチャー」と評価し、森福には「終盤に投げてチームの力になってほしい」と期待。巻き返しを誓う就任2年目の来季、実績のある新加入選手を頼りにしていることがうかがえる。

 一方、生え抜きの若手を取り巻く環境は厳しさを増す。15年のドラフト1位で入団した右腕の桜井俊貴(23)は故障もあってルーキーイヤーは1試合の登板にとどまり、即戦力の評価に見合う活躍ができなかった。来季、先発で桜井より先にチャンスを与えられるのは山口俊であり、吉川光になるのだろう。

 14年のドラフト1位で入団した内野手の岡本和真(20)も苦しい。16年の開幕前は村田と三塁の定位置を争う期待の星だったが、現時点における来季の位置付けは、16年のベストナインに輝いた村田のバックアップをマギーと争う立場。将来を嘱望される大砲候補だけに、早期の才能開花を願うファンは寂しく感じているに違いない。

 思い起こされるのは、吉川光らとのトレードで日本ハムに移籍した大田泰示(26)だ。超高校級スラッガーの肩書を引っ提げて08年のドラフト1位で入団しながら、厚い選手層を打ち破れないまま巨人を去ることになった。自身の実力不足といわれればそれまでだが、“旬”を逃した結果だったとすれば悔やまれる。

 16年の日本シリーズは、出来上がった選手に見向きもせずに生え抜きの若手を我慢強く起用して才能を最大限に引き出した日本ハムと広島の間で争われた。巨人が積極補強を原動力に上位を維持し続けている以上、有効な戦略ではあるのは間違いない。しかし、巨人が日本ハムの大谷翔平や中田翔、広島の鈴木誠也や丸佳浩といった才能を生かし切れない球団かもしれないと考えると、罪深い手であるのも確かである。
(産経新聞)

 少ないチャンスで結果を出すことは難しい。

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