投手での起用か、野手(指名打者=DH)か。12月20日に、先行発表されたメンバーにも当然のごとく「大谷」の名前が入ったが、指揮を執る小久保裕紀監督(45)が最も頭を悩ませ、神経をすり減らすところだろう。
本音は、先発投手での起用に違いない。最速165キロの速球は何といっても魅力だ。150キロ台のフォークボールも打つのは難しく大きな武器になる。3月7日~11日の第1ラウンド(東京ドーム)でキューバ、豪州、中国との3戦。上位2チームに入れば、間髪入れずに12日から東京ドームで第2ラウンドが続く。対戦相手と予想されるのは韓国、オランダ、台湾など強力打線のチームだ。先発投手陣は5人を確保したいところだ。
大リーガー投手陣が「侍ジャパン」に加わるとの一部、報道もあったが、ここに来て風向きが変わってきた。アテにしていた前田健太(28、ドジャース)はWBC出場辞退が確定的。ダルビッシュ有(30、レンジャーズ)についても、レンジャーズのダニエルズ・ゼネラルマネジャー(GM)がWBCの出場対象から外す手続きを取ることを明言した。昨年3月に右肘靱帯の再建手術を受けたこともあり、無理をさせられないとの判断だ。
もう1人、田中将大(28、ヤンキース)の出場も厳しそうだ。本人は明言していないが、米紙が出場見送りを指摘している。となると、大リーグ勢を除く国内組では投手陣が見劣りするのは事実だ。20日に先行発表されたメンバーでは、投手で菅野智之(27、巨人)、則本昂大(25、楽天)、牧田和久(32、西武)、増井浩俊(32、日本ハム)らがいるが、絶対的なエースと呼べる投手は見当たらない。
ならば、大谷を是が非でも投手として起用したい。ところが、ポスティングシステムで米大リーグ移籍の場合、年俸総額300億円とも言われる大谷はもはや「国の宝」(日本ハム・島田利正球団代表)と表現されるレベルにまで達している。故障した場合は、誰が責任を取るのか?という以前に、“国家的損失”の問題が浮上してくるのだ。
20日の発表会見に小久保監督は姿を見せず、大谷の起用法を聞かれた日本野球機構(NPB)の加茂浩将事業本部長の「監督やコーチが彼をどう使ったら一番力が出るかを判断する」とのコメントに苦悩が見え隠れする。
もちろん、大谷の場合、野手だけでも十分、活躍を期待できる。11月の強化試合(メキシコ代表戦、オランダ代表戦)では第1試合こそ代打での出場だったが、第2戦では「3番・DH」で大活躍。第3戦では国際試合初の本塁打を放ち、第4戦では天井の隙間に打球を入れる「二塁打」で周囲を驚かせた。だが、打線に関してはセの首位打者・坂本勇人(28、巨人)、2年連続のトリプルスリーの山田哲人(24、ヤクルト)、セの2冠王・筒香嘉智(25、DeNA)、パの打点王・中田翔(27、日本ハム)とレベルの高い選手がそろっている。野手より、投手で使いたいところだ。
大谷が指名打者から抑えに回るケースは、あまりに危険だ。クライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージ、ソフトバンクとの第5戦でDHで先発し、九回を抑えで締めた“芸当”について野球関係者も「あれは、栗山監督と大谷との信頼関係があったからこそ、できた話。侍ジャパンで同じようなことは難しい」とくぎを刺す。
小久保監督は間もなく難しい決断を迫られる。
(産経新聞)
確かに起用法は難しいけど、投手だけだろう。
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