政府の「新型コロナウイルス感染症対策分科会」の尾身茂会長(71)の提言を6月4日、田村憲久厚生労働大臣(56)が「自主的な研究の成果の発表」と表現。ネットでは、異論が噴出している。
ことの発端は6月3日、尾身会長が東京オリンピック・パラリンピックの開催について懐疑的な姿勢を示したことによる。尾身会長は国会で「本来はパンデミックのなかで開催するということが普通でない」「開催するのであれば、政府もオリンピック委員会も厳しい責任を果たすべき」といい、さらにこう続けた。
「何のためにやるのか、しっかりと明言するのが重要」
そして尾身会長は、“大会を開いた場合の感染リスクなどについて提言を示す”とも明らかにした。
昨年7月、分科会のトップに就任した尾身会長。それから1年近くもの間、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため政府とともに奔走してきた。そんな尾身会長による異例の“苦言”。しかし、田村大臣は意に介さなかったようだ。
毎日新聞によると尾身会長が提言することに対し、田村大臣は「参考にするものは取り入れていくが、自主的な研究の成果の発表だと受け止める」とコメント。さらに「自主的にいろんなことをおっしゃっている。参考にさせていただくものがあれば、政府の中に取り入れていくことはある」と話したという。
尾身会長の提言を“自主的な研究成果の発表”とする田村大臣。しかし感染症のエキスパートによる意見をそうして矮小化してスルーしようとすることは、はたして厚生労働大臣としてふさわしい言動だろうか? ネットでは田村大臣の発言に対し、非難が相次いでいる。
《政府分科会会長提言は「自主的な研究」ではない。利用するだけ利用し、意に反するものは認めない》
《オリンピックの開催を最優先と考えて、医学・科学の知見を否定するかのような発言です。厚生労働大臣の発言とはとうてい思えません》
《自主的な研究?なら何のための分科会だよ》
■尾身会長に対して、精神論で抗う五輪の重役たち
尾身会長の行動は、“東京オリンピック開催推進派”をざわつかせている。
「丸川珠代五輪大臣(50)は尾身会長の苦言に対して、『我々はスポーツの持つ力を信じて今までやってきた。全く別の地平から見てきた言葉をそのまま言ってもなかなか通じづらいというのは私の実感』と持論を展開しました。
また尾身会長は国会で“大会成功のためにはなるべく小規模で”とも話しました。しかし、JOCの山下泰裕会長(64)は『全くそのとおりだと思う』とうなずきながらも『国民に迷惑をかけないようさらにもう一段努力する必要がある』とコメント。
“スポーツの力”や“努力”など、五輪の重役たちは尾身会長に対して精神論で抗っているように見えます」(全国紙記者)
尾身会長をないがしろにする態度が相次いでいるがーー。そのたび「何を頼りにすれば」と不安を覚えるのは、我々国民ではないだろうか。
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現実を直視しない精神論は愚かで危険。戦前の旧日本軍と同じ。
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