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8日に行われた男子ショートプログラム(SP)で、五輪3連覇に挑む羽生結弦(ANA)はジャンプにミスがあり、95・15点の8位と出遅れた。世界選手権3連覇中で、世界歴代最高となる113・97点をマークして首位発進したネーサン・チェン(米)とは18・82点差がついた。鍵山優真(オリエンタルバイオ)が108・12点で2位につけ、平昌(ピョンチャン)大会銀メダルの宇野昌磨(トヨタ自動車)が105・90点で3位。フリーは10日に行われる。
北京のリンクに立った心境を、羽生は「何一つほころびがない状態」と振り返った。極限まで集中し、3連覇へ心身ともに万全に仕上げた自負があった。ところが、最初のジャンプで落とし穴が待っていた。
冒頭に予定した4回転サルコーは、回転が抜けて1回転になってしまった。練習では百発百中だった得意技で、「完璧なフォームで、完璧なタイミングで跳んだ瞬間、穴に入った」。踏み切った左足のエッジが、氷の溝にはまり、跳び上がれない。この大技が0点となり、得点を伸ばせなかった。
ミスというよりは、不運。しかし、ここから五輪王者の底力を発揮した。ショックを感じさせず、続く4回転―3回転の連続トウループを鮮やかに決め、最後のトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)も難なく成功。その後は完璧に演じきると、演技後は、氷の溝に手を当てて苦笑いを浮かべた。
今季作ったSPの「序奏とロンド・カプリチオーソ」で表現するのは、誰も成功したことがないクワッドアクセル(4回転半ジャンプ)と苦闘する自分のスケート人生だ。「自分らしさが内面から出せる」ピアノ曲で滑ろうと、ピアニストの清塚信也さんに演奏を依頼し、「愛情を持っている」という作品に仕上げた。
だから、最後まで諦めなかった。ピアノの旋律を一音一音拾いながら舞ったステップは「暗闇からの光を全部エネルギーにして突き進む」がテーマ。山あり谷ありの道のりを氷に刻んだ。
首位のチェンとは18・82点の大差がついた。3連覇への道は険しいが、悲壮感はない。「氷に嫌われちゃったな。僕、何か悪いことしたかな」と笑う表情は、開き直って見えた。10日のフリーへ、4回転半は「挑戦する。全てのプログラムにベストを尽くし続ける」と宣言した。王者のプライドを込めた滑りを、ファンは待っている。(小沢理貴)
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フリーでクワッドアクセルを成功させて、逆転優勝してもらいたい。
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