安全保障政策を大きく転換させる法改正に備え、当事者である防衛省・自衛隊が部隊行動などをあらかじめ検討しておくのは至極当然だ。
お盆休み前の参院特別委員会で、統合幕僚監部が5月末に作成した内部資料を共産党の議員が突き付け、「成立前の検討は許されない」などと批判して審議は紛糾、散会した。
民主党も「自衛隊中枢の先走り」などと同調しており、今後の審議に影響が出かねない。
「切れ目なき準備」を行っておくことこそ、日本や国民を守り抜くために欠かせない。
安保関連法案をつぶすための、理屈の通らない批判にとらわれず、いかに抑止力を高め、危機を回避するかの本質論をたたかわせる必要がある。
共産党が提示した自衛隊の内部資料では、安保関連法案の成立を前提に、南スーダン国連平和維持活動(PKO)派遣の部隊による、駆け付け警護の実施などが検討項目に挙がっていた。
共産党は「戦争法案の先取り」などと指摘し、防衛省・自衛隊が突出していると印象付けようとし、安倍晋三政権や中谷元・防衛相の責任を追及する構えだ。
自衛隊は、国や国民を守る活動のほか国際貢献、災害出動でも、非常に厳しい状況での任務遂行を迫られる。だからこそ、事前の準備、訓練が重要になる。
安保関連法案が施行された後、新たな任務をいつ要請されるかは分からない。早期に対応するための事前準備がなければ、抑止力の向上、国際貢献の充実に後れをとることになる。
政府側の答弁も心もとない。
中谷氏は「国会審議中に法案の内容を先取りするようなことは控えないといけない」と語った。その場しのぎで野党の追及をかわそうとする、旧態依然とした答弁姿勢は転換すべきだ。
必要な検討作業を部内で進めることに何ら瑕疵(かし)はないと、首相も中谷氏も反論すべきだ。
参院の審議では、民主党が自衛隊の後方支援で核兵器を輸送するといった「120%あり得ない」(首相)事例を取り上げ、それを排除する規定が法案にないことを問題視した。非現実的であり、高いレベルの議論とは言い難い。
国民の安全や国際社会の平和を現実に守る方策についての建設的な質疑を求めたい。
(産経新聞)
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