◇交流戦 日本ハム5―0広島(2015年6月3日 マツダスタジアム)
ONで広島粉砕だ。日本ハムは3日、広島との交流戦(マツダ)に中田翔内野手(26)、大谷翔平投手(20)の「平成のON」コンビのバットで快勝した。4回に主砲・中田の中前打で先制すれば7回は二刀流・大谷が試合を決定づける代打適時打。ONそろい踏みの打点で13三振を奪われた大瀬良大地投手(23)を打ち砕き、チームに4連勝&貯金11、交流戦首位浮上をもたらした。
恐ろしいくらいの勝負強さだ。誰もが期待する場面で打つ。点が欲しいときに点を奪う。それがONの真の姿だ。
勝負どころだった。リードを2点に広げた7回1死二塁。「代打・大谷」がコールされると敵地・マツダスタジアムがどよめいた。1ボール2ストライクから大瀬良のチェンジアップをバットの先端で拾うように右前へ。今季初の代打安打で勝利を決めた。「打てたのはたまたま。向こうの失投です。ここから1個1個やりたい」と大谷は謙遜したが、試合を決める一打に「平成のON」の破壊力が表れていた。
Oの前に勝負強さを見せたのはNだ。4回1死から中島がセーフティーバントで出塁し、田中が四球を選び一、二塁。ここで地元・広島に凱旋した中田が中前に先制打を放った。「先制点を取ることができたのが大きかった」。大瀬良は3回まで完全投球。何とか主砲に回し、1点を先に取ろうというチーム戦略に応えるように打った。
試合は、序盤から大瀬良の140キロ台後半の直球とカットボールにてこずった。次々とバットが空を斬る姿に、栗山監督も「きょうはどうなっちゃうんだろうというくらい良かった」と苦戦を覚悟していた。実際、7回途中まで13三振。そんな中で主砲が先制点を叩き出すと、7回に杉谷の適時二塁打で追加点を挙げた場面で仕掛けた。「何度も言うように勝負どころは早いところにある。早めに勝負しないといけなかった」。栗山監督は大瀬良を叩くチャンスと見るや「代打・大谷」という勝負手を打ち、20歳の若武者がそれに応えた。
かつて40年以上前、不滅のV9を築いた王、長嶋もそうだった。ONアベック弾は通算106試合で87勝16敗3分けの勝率・845。広島市民球場では12回記録して全勝するなど圧倒的な勝負強さを誇った。時は流れ、同じく勝負が懸かる場面で「平成のON」が結果を残し、チームを勝利に導いた。中田、大谷のアベック打点は通算17度目で15勝2敗。勝率・882を誇り、この夜は大瀬良を打ち砕いた。
チームは4連勝でリーグ優勝した12年以来の貯金11。中田が「みんなが1点を取りにいく気持ちが出ている。それが良かった」と言えば、栗山監督は「やっぱり決めるのは(中田)翔。(大谷)翔平もよく打った。こういうところで結果を残すのは大事」と続けた。ONで交流戦首位。勢いはもう止まらない。
≪大谷、3本目の打点付き代打安打≫ 大谷(日)が7回代打で適時右安打。今季代打起用は4度目になるが安打は初めて。打点付きの安打は13年7月14日ロッテ戦で7回中越え本塁打(2打点)、14年7月22日オリックス戦で7回左中間二塁打(2打点)を放ったのに次ぎ3本目だ。
▼広島での元祖ON 巨人の王、長嶋は60年代から70年代にかけ、広島市民球場で無類の勝負強さを発揮。106回あるONアベック弾のうち、12回を同球場で記録し、12回全てに勝っている。その1回目は62年8月25日の王、長嶋の2者連続アーチで、72年6月6日の12回目は王の通算500号だった。
(スポニチアネックス)
打撃ももちろんだが、投手陣が繋いで完封に抑えたのがすごい。
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