引退から6年。カリスマがリングに帰ってくる。これまで幾度となく復帰のオファーを断ってきた魔裟斗だが、2児の父となり、36歳という年齢的にも子供たちに自身の原点を見せられるラストチャンスであるとの思いに達し、翻意した。KIDとのワンマッチ限定での現役復帰が決まり「とにかく勝ちたい。昔と同じ動きができるかといえば無理だけど、どこまで近づけることができるかが勝負」と意気込みを述べた上で「KID君、大みそか一緒に格闘界盛り上げようよ」とライバルに呼び掛けた。
00年からK―1に参戦し、中量級の世界王者として黄金時代を築いた。端正な顔立ちに、強さを兼ね備えたパフォーマンスで人気絶頂となり、リング外でもテレビや映画、CMにも出演。今回対戦するKIDとの04年の対戦では瞬間最高視聴率31・6%をマークし、民放の同時間帯の番組では初めてNHKの紅白歌合戦の数字を超えた。日本格闘史に残るバトルがよみがえることになり「格闘技ブームに火が付くような手伝いができれば」と闘志を燃やした。
大一番に向け、今夏からジム練習を再開。久々に人を殴り、殴られ、拳を腫らしながら週6日のペースで汗を流してきた。現役時に数々の戦いを乗り越えて神経がまひし、痛みを感じなくなっていたすねも、今では椅子にぶつかると痛みも感じるという。ただ、ジムでのトレーニングは継続しており体脂肪は1桁台をキープ。ベンチプレス130キロを持ち上げるパワーで重量感ある打撃を披露し「一発は重いですよ。当たるか分からないけど」とニヤリ。3分5Rの真剣勝負を見据え、残り2カ月で体力を強化していく。
現役UFCファイターとの対戦だけに、KIDの挑戦を受けた11年前とは立場が違う。内容次第では失うものも大きいかもしれないが、プライドを捨ててでも戦う理由がある。「子供ができて、2人を見ていて全てが挑戦なんです。0歳の子供が寝返りを頑張って挑戦し、3歳の子供が公園のグループの中に入っていくのも挑戦。そういう子供がチャレンジする姿を見ていると、おやじも、ちょっとは挑戦して頑張らなければ、という気持ちになる」。かつてスポットライトを浴び続けた父のプライドが、6年ぶりのリングで激しい火花を散らす。
(スポニチアネックス)
まともに戦えるのか。
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