平成29年4月の消費税再増税と同時に導入する軽減税率をめぐり、首相官邸が財務省に、財源として自民党執行部が主張する「4千億円以内」の1・5倍にあたる6千億円の確保を指示していたことが28日、分かった。対象品目の拡大を目指す公明党への配慮だが、新財源を確保できる見通しはない。財政規律を重視する自民党執行部は上積みに反対しており、来月中旬の来年度税制改正大綱策定まで調整は難航しそうだ。
政府関係者によると財源の拡大を主導しているのは複数の官邸幹部。官邸側は財務省と協議を重ね、自民党が社会保障と税の一体改革の枠内で捻出できる額とする約4千億円から、2千億円の上積みを指示している。ただ、官邸も新財源の具体的なあてはない。一体改革の枠内を堅持しつつ、診療報酬改定の厳格化などで財源を確保する案もあるが、財務省は「軽減税率を恒久的に支える安定財源とはいえない」と難色を示しているという。具体的な対象品目の範囲も不透明だ。
軽減税率をめぐっては自民党の谷垣禎一幹事長らが財源を4千億円以内に抑えるよう主張。対象品目も生鮮食品(必要財源約3400億円)と加工品のごく一部とするよう求めてきた。
ただ、公明党は痛税感の緩和には「生鮮食品だけでは意味がない」(山口那津男代表)と反発。酒と外食、飲料と菓子を除く生鮮食品と加工品全般(必要財源8200億円)を「絶対防衛圏」(税調幹部)とし、妥協を拒否してきた。
官邸が上積みを狙うのは、来年夏の参院選で公明党との選挙協力を深めたいとの思惑がある。ただ、自民党側は谷垣氏と稲田朋美政調会長、二階俊博総務会長の党三役が「4千億円以内」と足並みをそろえ、官邸と対立している。
政府は当初、軽減税率を還付する方式として、あらかじめ一定額を入金したプリペイドカードの使用を検討したが、小規模事業者に端末を配布する手間がかかることなどから、困難との見方が広がっている。
(産経新聞)
国民不在で、公明党への配慮だけだろう。
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