海の向こうからのニュースは、瞬く間に全米に広がった。本来は、来季に向けた補強が話題の中心になるウインターミーティング。しかし、今回ばかりは様子が違う。早くても1年後の移籍となる「OTANI」が、その“主役”となった。
「われわれは調査しているよ」
レッドソックスのデーブ・ドンブロウスキ編成本部長(60)が米AP通信などに明言した。レ軍の担当記者だけを集めた記者会見で明かしたもので、日本向けのリップサービスは一切なし。名門で編成の全責任を負う、最高幹部の言葉だけに重みがある。
同本部長は投打二刀流での起用にも言及した。「とても難しいこと」と前置きした上で「もちろん、あり得る。ベーブ・ルースはできたのだから、できないことはない」と「神様」の名前まで引き合いに出し、「恐らく100年に1人の人材」と強い関心を隠さなかった。
1918、19年にルースはレッドソックスで二刀流として活躍。18年は開幕投手も務め、投げては13勝(7敗)、打っては打率3割、11本塁打、61打点で世界王者に導いた。20年のヤンキース移籍後はほぼ野手に専念しており、“元祖・二刀流”の舞台になった球団からの興味は運命的でもある。
もちろん、他球団も放っておかない。今季108年ぶりにワールドシリーズを制したカブスのスカウトで、日本ハムでプレーしたフェルナンド・セギノール氏(41)は「米国の野球を変える可能性を持つ日本最高の選手。どのチームも(獲得準備で)忙しくなるだろう」と言い切った。
米メディアは日本選手過去最高、10年総額3億ドル(約340億円)の大型契約となる可能性も指摘する。現実的にはレッドソックスやカブスなど資金が潤沢な球団だけが争奪戦に加われる状況だが、セギノール氏はメジャー全30球団が獲得に動くだけの存在であることを強調した。
さらに、レンジャーズのジョン・ダニエルズ・ゼネラルマネジャー(GM、39)も「才能にあふれる選手」と評価。ヤンキースのブライアン・キャッシュマンGM(49)は「公式にポスティングを申請するまで、彼のことは話さない」と具体的なコメントを避けた。これも逆に、本気度の高さをうかがわせる慎重な対応だ。
来年3月のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)にもスカウトが大挙、視察に押し寄せる見通し。「今は来年、日本一になることが一番の目標」と冷静な本人をよそに、米球界では早くも“大谷フィーバー”の幕が上がった。
(サンケイスポーツ)
大谷フィーバーの幕開けか。
0 件のコメント:
コメントを投稿