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2015年10月1日木曜日

恋愛聖地で自殺願望…三重・高3同級生殺害の被害女生徒、周囲に漏らす

 三重県伊勢市の山林で高校3年の波田泉有(みう)さん(18)=松阪市=が殺害された事件で、波田さんが殺害現場となった山中の記念碑前で自殺すると周囲にもらしていたことが30日、スポーツ報知の取材で分かった。また、知人の中には殺人容疑で逮捕され「頼まれて殺した」と供述している同級生の男子生徒(18)は波田さんの交際相手との証言もある。県警伊勢署は、事件の経緯について調べを進めている。

 関係者によると、波田さんは殺害される前、自殺の願望を周囲に漏らしていた。場所として挙げていたのは今回の殺害現場となった虎尾山の記念碑前だったという。

 殺人容疑で逮捕された男子生徒は「頼まれて殺した」と供述している。波田さんの自殺願望の事実関係は、嘱託殺人罪の適用にも関わるだけに、伊勢署は事件に至る経緯について裏付け捜査を進めている。また、男子生徒は凶器とみられる包丁を「登校する際に自宅から持ち出した」という趣旨の供述をしている。事件のあった28日の朝までに波田さんが依頼した可能性もある。この日は2人とも普段通り登校していたという。

 虎尾山にある記念碑は「恋愛の聖地」として全国からカップルが訪れる人気スポット。伊勢市出身の作家・橋本紡さんの人気ライトノベル「半分の月がのぼる空」に「砲台山」として描かれ、有名になった。記念碑には、寄せ書きのノートが置かれ、恋人たちが願いをつづった絵馬が手すりにくくられている。この場所で近くの住民は「以前、波田さんを見たことがある」と明かす。

 波田さんと男子生徒の関係について、2人が通学する伊勢市の私立高校の内部調査では、ある教諭が「波田さんは男子生徒をとても信頼し、相談事を打ち明けていた」とする。さらに2人をよく知る関係者は、スポーツ報知の取材に「(2人は)交際していた」と証言した。事件当日、2人が恋愛の聖地と呼ばれる記念碑へ向かった理由や交際の有無が事件と関連するかなど伊勢署は、慎重に調べているとみられる。

 同校によると2人は2年時のクラスメートで、波田さんは演劇部、男子生徒は商業実務部に在籍。両部員は普段から仲が良く、事件直後に伊勢署員が駆け付けた現場にも1人の演劇部員、2人の商業実務部員がいた。

 波田さんは交友関係が広く、学業も優秀でクラス34人のうちトップの成績だった。男子生徒も真面目で、与えられた仕事は最後までやり遂げる性格だった。卒業後は調理系専門学校への進学を希望していた。

 一方、波田さんはリストカットの経験があるなど以前から自殺願望を抱いており、今年7月2日から5日まで行方不明になり、家族らが捜索する騒動も起きていた。4日間、今回逮捕された生徒とは別の男子生徒が一緒におり「死んでほしくない」と説得し続けたため、自殺を思いとどまった経緯がある。

 知人によると波田さんは、母親と折り合いが悪かったという。このことは学校も把握しており騒動後、皿屋校長が行った3度の面談では「私なんか生きていても価値がない」などと話していた。

 ◆「半分の月がのぼる空」 橋本紡さんが2003~06年に全8巻を出版したライトノベル作品。中高生の間で爆発的人気を呼んで漫画、アニメ、ドラマ化され、10年には池松壮亮、忽那汐里の主演で映画化。作中には伊勢市内に実在する場所が数数く描かれ、各地を「巡礼」するファンが多数出現した。中でも「砲台山」として物語の重要な役割を果たす虎尾山の記念碑は「聖地」とされる。
(スポーツ報知)

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