◇大相撲夏場所12日目(2015年5月21日 両国国技館)
35度目の優勝と2度目の7連覇を狙う横綱・白鵬が大関・豪栄道の逆転の首投げに2敗目を喫した。平幕の魁聖も2敗に後退したためトップは変わらなかったが、取組後に横綱はすぐに礼をせずに棒立ちになるなどショックを隠せない様子。優勝争いは2敗の白鵬と魁聖を、稀勢の里、照ノ富士と平幕4人が1差で追う大混戦となった。12日目で2敗以上している力士が首位なのは12年夏場所以来3年ぶり。
もろ手で受けて立った白鵬は左からいなし、もろ差しとなって勝機と見るや土俵際まで寄った。しかし、最後の最後に豪栄道の捨て身の首投げを食って体勢がぐらり。それでも、横綱は懸命に粘る。右肘が土についた瞬間、大関の体も浮いた。
軍配は豪栄道。物言いもつかない。だが、白鵬はぶ然とした表情で舌を出した。立行司の式守伊之助と豪栄道が合わせて礼をした瞬間も、一人だけ棒立ちのまま。土俵から下りても、しばらく負け残りの控えに座らず30秒以上立ち尽くした。
勝てば単独トップだった大関戦を落とし、支度部屋の奥に戻ると自らの手で座布団を後ろにずらして報道陣に背を向け、早歩きで国技館を後にした。史上最多33度目の優勝を飾った今年初場所でも13日目の稀勢の里戦での勝負判定に不満を示した白鵬。この日は無言を貫いたため胸中は不明だが「礼に始まり、礼に終わる」という基本をおろそかにした今回の態度も、どんな捉え方をされても言い訳はできない。
土俵下で見ていた伊勢ケ浜審判部長(元横綱・旭富士)は「(首投げとして体が)乗っかっているから、つくとかつかないとかではない」と説明。大関の明確な勝利だったか?と問われるとうなずいた。NHK中継では解説・北の富士勝昭氏(元横綱)が「物言いがついたとしても確認程度。これは首投げ。子供でも分かる」と断言。白鵬が初場所後の一夜明け会見で「子供が見ても分かる」と審判批判したフレーズを引用し、勝敗が明確だったことを解説した。
1敗2人と2敗2人が全員黒星。これで優勝争いは白鵬と魁聖が2敗で、6人が3敗というまれに見る混戦となった。残り3日。白鵬優位は変わらないが、12日目に横綱の心が揺れたのは紛れもない事実だ。
▼相撲の勝負判定 この日、伊勢ケ浜審判部長が「つくかつかないかではない」と言ったように勝負判定において審判団は、体が生きているか死んでいるかを含めて勝負を総合的に判断する。日本相撲協会の勝負規定第14条には「(前略)相手の体が重心を失っているとき、すなわち体が死んでいる時はかばい手といって負けにならない」とあり、体の生き死にを重要視している。
(スポニチアネックス)
北の富士氏の「子供でも分かる」はおもしろい。
白鵬の審判批判が、またあるかもしれない。
非礼な態度はダメで、また物議を醸すのだろう。
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