「中京の怪物」が、国内最速プロ5戦目で世界王座を獲得した。WBO世界ミニマム級2位の田中恒成(19)=畑中=が、同級1位のフリアン・イエドラス(27)=メキシコ=を3―0の判定で破り、WBO世界スーパーフライ級王者・井上尚弥(22)=大橋=の6戦目を超えた。田中の戦績は5勝(2KO)、イエドラスは24勝(13KO)2敗。
わずかプロ5戦で世界の頂点に立った。勝ち名乗りを受けた田中の顔に笑みが広がった。「すごく大きな目標だったので、本当にうれしい。すごいプレッシャーだった。本当に疲れました」。試合の2~4週間前は重圧に押しつぶされそうになったが「ここだけは勝たないといけない試合だった。その気持ちが一番強かったのが今回」と開放感に包まれた。
出だしは好調だった。2回に右ストレートで相手をぐらつかせたが「4、5回ぐらいからきつくなった」と足を使わず打ち合った。未経験の11回に突入した時には「石原先生が倒された回なので、ちょっと怖え~なと」と悪夢がよぎったが、恩師から力をもらっていた。
岐阜・中京高の石原英康監督(39)から高校1年時に贈られたシューズを2年ぶりに履いた。石原監督が2004年の世界初挑戦でマーティン・カスティーリョ(メキシコ)に11回TKO負けした際に使用したもの。「相手もメキシコ人で、リベンジの気持ちだった。これを履いて世界を取れたらと思っていた」
難病を克服しての戴冠だ。小学校入学前の3月、ペルテス病が発覚した。股関節部分の血行障害で大腿骨(だいたいこつ)骨頭が壊死する病気で、父も小学3年時に患った。半年間入院し、入学が遅れた。右足が不自由でギプスを着けていたため、イジメの標的に。同級生から顔に犬のフンをつけられるという悲惨な目にも遭った。後遺症はないが、今も両足は太さが違う。
井上を超えたが「(差は)まだまだ大きい。スタミナも必要だし、持ってるものを最大限に生かす老かい的なものがない」と課題を挙げた。ただ、キャリアはまだ5戦。田中には「(今年の)3戦目は年末に2階級制覇を目指したい」という野望がある。7戦目で2階級制覇なら、再び井上を超える世界最速記録だ。「日本一、応援されるボクサーになりたい」という夢へ、中京の怪物が未踏の地を歩む。(伊井 亮一)
◆田中 恒成(たなか・こうせい)1995年6月15日、岐阜・多治見市生まれ。19歳。幼稚園年中で空手、小学5年でボクシングを始める。中京高1年で国体、2年で高校総体、国体、選抜で優勝。アマ戦績は46勝(18RSC)5敗。3年秋に畑中ジムに入門。13年11月にB級(6回戦)でプロデビュー。身長163.5センチの右ボクサーファイター。
◆田中が達成した記録
▽最速世界王座 デビュー5戦目は、井上尚弥(大橋)の6戦目を上回る日本記録。海外では1975年WBCスーパーライト級のセンサク(タイ)と2014年WBOフェザー級のロマチェンコ(ウクライナ)の3戦目。田中は世界4位。
▽10代世界王者 19歳11か月で日本人4人目。最年少は1987年WBCミニマム級の井岡弘樹の18歳9か月。19歳6か月のファイティング原田、19歳8か月の亀田興毅に続く。
▽師弟王者 世界王者出身のジム会長との師弟王者は国内4組目。日本初は元WBAフライ級王者の花形進と元WBAミニマム級王者の星野敬太郎のコンビ。
(スポーツ報知)
高校ボクシングの成績が、イマイチと思いきや、井上尚弥の弟の井上拓真とライトフライ級で互角の試合をしている。
田中の兄も、井上尚弥と対戦しているが、4敗のようだ。
最近、軽い階級で、有能なボクサー多くが誕生している。
田中が、階級を上げると、井上兄弟との対戦も今後ありそうだ。
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