【北京=五十嵐文】中国が26日に発表した国防白書は、2年前の前回の白書に比べ、分量が大幅に減ったほか、データ類の記載が一切ない異例の内容となった。
中国は今回の白書について「各国の軍事透明度の向上を促し、相互理解と信頼を増進するのにプラスの意義がある」(国防省報道官)と主張しているが、中国軍の透明性がいっそう低下した印象は否めない。
中国は1998年以来、ほぼ2年に1度のペースで国防白書を発表してきたが、2年前の前回白書から特定のテーマを重点的に取り上げる形式に切り替え、今年は「軍事戦略」をテーマに据えた。
今回の白書はA4判で25ページ。前回は40ページ、テーマを設定していなかった前々回は98ページだった。前回までは巻末に中国軍が参加した外国軍との演習一覧などの図表を付録として載せていたが、今回は文字だけだった。
中国軍は3月の全国人民代表大会(全人代=国会)に合わせて発表している国防予算についても内訳を公表していない。記者会見に出席した中国人記者の中からも「テーマを絞るなら、せめて従来の形式の国防白書も別に出すべきだ」との声が漏れた。
一方で白書は、中国軍が進める機構改革について、初めて明記した。具体的には、共産党中央軍事委員会に陸海空軍と第二砲兵の4軍を統合運用する中央合同作戦指揮機構と、国内に設置している地域防衛区分である7大軍区を改編した戦区の合同作戦指揮体制の確立だ。異なる軍種や軍区を機動的に運用することで、米軍に対抗する狙いがある。
また、海軍については「近海防御」型から「近海防御と遠海防衛の結合」型に転換すると明記し、海洋進出をいっそう拡大する方針を明確に打ち出した。26日の白書発表に合わせた記者会見に同席した中国軍幹部は「近海防御だけに立脚していては国家の海上の安全を効果的に守ることはできない」と語った。
(読売新聞)
中国の海洋進出拡大の宣言なんでしょう。
米国のリバランス政策との対立の構図で、日本の安保論議も盛り上がるのだろう。
0 件のコメント:
コメントを投稿