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2015年5月12日火曜日

マイナンバー導入で何が変わるか/高橋洋一(嘉悦大学教授)

◆マイナンバー導入で何が変わるか

 企業や個人がマイナンバーで銀行や証券の口座を開き、税務署が番号を照会すれば、入金から納税までのお金の流れをすべて把握することができる。

 これまで日本では納税者番号制がなかったので、脱税が公然と放置されてきた。マイナンバー制を導入すれば、税金の未納分が一目瞭然となる。税逃れのないようにきちんと管理すれば、日本の税収は増え、消費税率の引き上げなど二の次、三の次であることがわかる。それほど消費税というのは脱税が多いのだ。

 たとえば日本の小売業者は、納入業者から商品を仕入れるときに負担する消費税額を、商品を売ったときに得る消費税額から引いている。しかしその際、納入業者からの納品書に消費税額が記されていない。事実上「言い値」になっているので、仕入れの際に小売業者が負担額を多く見積もれば、小売店の払う消費税額を減らすことができてしまう。

 この納入システム上の欠陥によって取り逃がしている消費税は、およそ3兆円に上ると見られる。納品書に消費税額を明記してその額だけを控除できるようにするインボイス方式(税額伝票)に切り替えれば、消費税の徴収漏れを確実に防ぐことができる。

 日本は現在、社会保険料で10兆円、脱税で5兆円、消費税で3兆円が未納だという。計20兆円近くの税金が支払われておらず、源泉徴収をされるサラリーマンをはじめとして、税金をまともに納めている国民は馬鹿を見つづけている。このような制度上の不備は即、変えなければならない。

 これまで取り逃がしていた脱税分をマイナンバーで捕捉し、税金を集めるのは有効な財政政策である。消費税を増税する前に、個人が払う消費税と企業が払う法人税が「二重課税」になっている、という根本的な問題があることも浮き彫りになるだろう。

 だが、財務省のいうとおりに「消費税率を上げなければ財政破綻する」と報じていた左派マスコミは、揃ってマイナンバーの導入に消極的だった。なぜか。

 マイナンバー制に反対したのは、税金逃れをしている人や、仕事を増やしたくない役人を除けば「プライバシーの侵害にあたる」という左派の主張である。しかし、税や社会保障に関してプライバシーで壁をつくったら、徴税も行政サービスも成り立たない。プライバシーを盾に脱税される国のほうは堪ったものではない。

 マイナンバーがプライバシーの侵害なのであれば、日本以上にプライバシーに敏感なヨーロッパ各国で納税者番号制がスタンダードになっているはずがない。現実に世界で行なわれている個人情報保護の工夫を、日本も取り入れればよいだけである。日本のマスコミは、まさか脱税を放置することが正義だと考えているのだろうか。
(『Voice』2015年6月号より)

 なぜ、脱税・所得隠しは、なくならないか。
 脱税できる現行システムに問題があるからで、マイナンバー制が機能すれば減るでしょう。
 マイナンバー制で税金を確実に徴収できても、政治家・公務員の税金の無駄遣いをなくさないと意味がない。

 飲食費用・旅費などは、会計検査院が調べないから、無駄がたくさんあるようです。
 

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