日本国憲法は戦後、国民にどう受けとめられてきたのか。毎日新聞がこれまで実施してきた世論調査を読み解くと、憲法改正について賛成する人が多くなっているものの、関心が高まらない姿が見えてくる。【石戸諭/デジタル報道センター】
90%が「憲法改正」を支持−−。これは1946年11月調査で、大日本帝国憲法が現在の「日本国憲法」に「改正」されたときの結果だ。調査によると、吉田茂内閣が進めた日本国憲法への改正を「成功」と答えたのは調査対象者の34.7%、「大体よろし」57%と合わせて90%超が賛意を示した。
朝鮮戦争など東西冷戦が激しくなった50年代には「再軍備」が政治上の大きな争点に浮上した。52年3月調査では、軍隊保持のため憲法改正に「賛成する」と答えたのは43.2%で、反対の26.8%を大きく上回った。ただ、この時代、改憲勢力は衆参両議院の議席3分の2を確保できず、憲法改正は断念された。
その後、日本が高度経済成長を遂げるなか、国民の「憲法改正」への関心は薄れた。62年の世論調査で、当時の池田勇人内閣に望む政策課題を三つまで選ぶ調査では、「物価抑制」(56%)▽「社会保障の拡充」(29%)▽「大幅減税」(29%)など、経済と社会保障分野の問題が上位を占め、「憲法改正」は5%にとどまった。
近年の世論調査でも「改憲」について一定の支持は集まるが、生活や経済に直結する課題を重視する傾向は変わらない。
例えば2013年4月調査では「憲法を改正すべきだと思う」が60%で、「思わない」の32%を上回っている。その一方で、14年12月、安倍政権下で行われた衆院選前の調査では、「憲法改正」を最も重視する争点と答えたのはわずか3%だった。上位は「年金・医療・介護・子育て」33%、「景気対策」26%だった。
さらに無関心層の存在も無視できない数に達している。12年の時事問題調査では「かなり関心がある」14%、「ある程度関心がある」43%に対し、「あまり関心がない」31%、「関心がない」11%で、4割を超える「無関心層」が存在していることになる。
いま、憲法の議論は「関心がある人」向けになっていないだろうか。もう一度、考える必要がありそうだ。
(毎日新聞)
憲法改正は、無関心層が、どのように判断するかなのでしょう。
改正できなくも、有事の場合の安全保障法制の整備は必要でしょう。
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