ロードレース世界選手権(WGP)開幕戦カタールGPが、3月17日(木)にドーハ郊外のロサイル・インターナショナル・サーキットにて開幕します。カタールGPは、2004年に第1回大会が行われました。その後、08年にはグランプリ史上初のナイトレースが開催され、世界的に大きなニュースになりました。カタールGPは、今年で13度目。ナイトレースとしては9度目の開催となります。
カタールGPは、フリー走行、予選、決勝日と、日没時間に合わせて午後6時からセッションが開始されます。しかし、3日間開催では走行セッションが深夜に及ぶため、11年以降は、ライダーやスタッフの体力的な負担を軽減する目的に4日間開催となりました。
今年は2月に公式テストがスタートしました。2月は、マレーシア・セパンとオーストラリア・フィリップアイランド、3月上旬には開幕戦カタールGPの舞台となるロサイルで行われました。
MotoGPクラスは、14年に共通ECU(エンジン・コントロールユニット)のハードウエアが採用されました。今年からはソフトウエアも共通となります。そのため、独自ソフトウエアを使用する「ファクトリー」と、共通ソフトウエアを使用する「オープン」に分けられていたカテゴリー分けは今年からなくなり、燃料タンクの容量(22L)、使用できるタイヤなど、全車共通となります。
Hondaは、Repsol Honda Teamからマルク・マルケスとダニ・ペドロサ、LCR Hondaからカル・クラッチロー、Estrella Galicia 0,0 Marc VDSからジャック・ミラーとティト・ラバトの3チーム5台が参加します。
今年のウインターテストは、マニエッティ・マレリ製の共通ソフトウエアで走行を開始しました。加えて、ブリヂストンからミシュランへとタイヤが変更されたことで、多くのテストメニューが待ち受けることになりました。
13年に史上最年少記録を次々に樹立し、最高峰クラスのチャンピオンに輝いたマルケスは、14年にはシーズン最多優勝記録となる13勝を挙げて2連覇を達成しました。昨年は、シーズン前半に思うような走りができず苦戦しました。しかし、後半戦は調子を取り戻し、最終的に5勝を挙げて総合3位につけました。今年は2年ぶり3度目のタイトル獲得に向けて、全9日間に及んだウインターテストでは最多周回数を刻み、2016年型「RC213V」のポテンシャルを引き出すことに取り組みました。
オーストラリア・フィリップアイランドではトップタイムをマーク。開幕戦に向けて最後の調整の場となるカタール・ロサイルでは総合4番手。マルケスにとっては完ぺきとはいえませんが、開幕戦に向けて大きく前進しました。限られた時間の中でのセットアップ。ライバルメーカーがマニエッティ・マレリ製のソフトウエアを知り尽くしているだけに、Honda勢のウインターテストは、そのソフトウエアでパフォーマンスを引き出すための学習時間となりましたが、カタールGPでは2年ぶりの開幕戦勝利を目標に全力で挑みます。
Repsol Honda Teamで11年目のシーズンを迎えるペドロサも、ウインターテストはソフトウエアとミシュランタイヤのパフォーマンスを引き出す作業に集中しました。昨年は、持病である右腕の手術のためシーズン前半に欠場するなど厳しいシーズンのスタートとなりましたが、シーズン終盤は2勝を挙げて総合4位へとランキングを上げました。今年は、念願のタイトル獲得に向けて闘志満々。マルケスとともにチャンピオン獲得の期待が寄せられています。
LCR Hondaで2年目のシーズンを迎えるクラッチローは、Repsol Honda Teamの2人と同じスペックのマシンでウインターテストに挑みました。マレーシアテストでは総合6番手、オーストラリアテストでは総合3番手、カタールテストでは総合7番手とHonda勢ではマルケスに続く結果を残しました。昨年は第3戦に3位表彰台を獲得するなど活躍し、総合8位。2年目の今年はMotoGP初優勝とチャンピオン争いを目指します。
MotoGPで2年目のシーズンを迎えるミラーは、LCR HondaからEstrella Galicia 0,0 Marc VDSへと移籍しました。新規一転で挑むシーズン。今年は開幕前のモトクロストレーニングで右足を負傷、マレーシアテストをキャンセルしなければならず、オーストラリアとカタールのテストも完調ではありませんでしたが、足の回復につれて元気ある走りをみせてくれるに違いありません。
チームメートでMotoGPルーキーのラバトは、全9日間のテストでマルケスに次ぐ周回数を刻みました。MotoGPマシンに慣れることを最大の目標にウインターテストに取り組みました。一昨年のMoto2チャンピオンで昨年総合3位のラバトは、デビューシーズンに向けて気合満点です。ミラーとともに、Estrella Galicia 0,0 Marc VDSの2人の若いライダーに熱い視線が集まっています。
CBR600RRのHondaエンジンを搭載して行われるMoto2クラスは、今年も厳しい戦いが予想されます。その中で最も注目を集めているのが2年連続チャンピオンを目指すヨハン・ザルコ(Ajo Motorsport)と昨年総合2位のアレックス・リンス(Paginas Amarillas HP 40)です。そしてウインターテストで好調だった総合4位のサム・ロース(Palma de Mallorca)と総合6位のジョナス・フォルガー(Dynavolt Intact GP)も注目されています。
Moto2クラスで5年目のシーズンを迎える中上貴晶(IDEMITSU Honda Team Asia)もテストで好調な走りをみせました。スペイン・ヘレスではトップタイム争いに加わり、開幕直前のロサイル・カタールでも上位3選手とトップタイムを争いました。ヘレス、ロサイルともに自己ベストを更新しているだけに、開幕戦から表彰台が期待されています。中上のチームメートとしては、ラタパーク・ウィライローが参戦します。
Moto3クラスは、一昨年のアレックス・マルケス(Estrella Galicia 0,0 Marc VDS)、昨年のダニー・ケント(Leopard Racing)に続き、3年連続でのタイトル獲得が期待されます。アレックス・マルケスは昨年からMoto2クラスに参戦、ケントも今季はMoto2クラスに昇格していますので、それに続くルーキーの戦いに注目されます。
昨年、総合3位のエネア・バスティアニーニ(Gresini Racing Moto3)、総合5位のニッコロ・アントネッリ(Ongetta-Rivacold)、総合7位のホルヘ・ナバロ(Estrella Galicia 0,0)、そして総合16位のリビオ・ロイ(RW Racing GP BV)がウインターテストで好走をみせました。
また、Moto3クラスでは新チームのHonda Team Asiaから尾野弘樹とカイルール・イダム・パウィが参戦します。ウインターテストでは、マシンのセットアップに多くの時間を費やしました。2年目の尾野とルーキーのパウィには、初表彰台と初優勝の期待がされます。
(HONDA)
開幕です。
昨年、ヤマハに負けたホンダのマシンの出来も見どころ。