5年に1度開かれるNPT会議で最終文書の採択に失敗するのは、米国とイランが対立した2005年以来、10年ぶり。
会議では最終局面まで中東の非核地帯化を巡る議論が紛糾した。イスラエルに配慮する米英などに対し、エジプトやイランなどアラブ諸国が反発。
イスラエルはNPTに未加盟だが、事実上の核保有国であるため周辺の中東諸国は非核化を促す国際会議の早期開催を求めている。最終文書案に「16年3月1日までに、すべての中東諸国を招く国際会議を開くよう国連事務総長に委任する」という文言が盛り込まれたことについて米国などは「会議開催の期限を区切るべきではない」と反発。これに対しエジプトなどのアラブ諸国は早期開催を強く求めた。前回の10年に合意した最終文書では12年に国際会議を開くことになっていたが、イスラエルの抵抗で開かれていない。
また、オーストリアやメキシコなどは「核兵器の非人道性」を強調して「核兵器禁止条約」の交渉開始に具体的な道筋をつけるよう求めてきたが、最終文書案では同条約について言及されずじまい。核弾頭の保有数の報告や核廃絶に向けた期間設定など、具体的に核保有国に核軍縮の行動を義務付ける表現もなかった。加盟国代表からは合意に至らず「とても残念で遺憾だ」との声が相次いだ。
核軍縮・不拡散で合意できなかったことでNPT体制が骨抜きになり、ウクライナや中東などで地政学的リスクが高まる恐れがある。核兵器の削減に具体的な行動を義務付けられなかったことは、ロシアや中国がさらなる軍拡を加速させるリスクもはらむ。
一方、日本が提案した「世界の指導者に広島・長崎への訪問を促す」とする文書が、中国の要請で削られた。日本は記述復活を求め中国との協議を継続。結局、「核兵器の被害を受けた人々や社会と直接経験を共有し、交流することを含み、核軍縮・不拡散教育を強化し、続ける」との文言を盛り込むことで折り合った。
(日本経済新聞)
結局、何も進展しないで終わってしまった。
「核なき世界」はないだろう。
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