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たとえば1998年に伊豆の川奈ホテルで行われた橋本龍太郎首相とエリツィン大統領(いずれも当時)の会談は、エリツィンが橋本を抱っこする映像と共に「解決に向けて合意」などと騒がれたが、その後何も進展はなく、後から見てみれば、ただ日本がロシア側への経済支援を約束しただけだった。
つまりこれまでも、ロシア側の甘言に日本の政治家が乗せられ、日本のメディアも大騒ぎし、しかし最終的にはロシアに甘い蜜を吸われただけ、ということを何度となく繰り返してきたわけだ。
いまロシアはアメリカやEUによるサンクション(経済制裁)の影響もあり、経済が急激に悪化している。そこでロシアは日本にすり寄ってきたのが見え見えなのに、安倍は得点稼ぎのためにその危険な誘いに乗ろうとしているのだ。
安倍は日本もアメリカやEUのサンクションの一員であることを忘れてしまったのか。アメリカは何度も彼に「プーチンには会うな」と言った。KGBの中佐だったプーチンの頭の良さが安倍よりはるかに上であることをアメリカは知っている。プーチンはいま崖っぷちにある。欧米のサンクションが効き始めてきたのだ。
そんな状態にあるプーチンが北方領土をエサに安倍と会って経済的支援を得れば、サンクションの一角が崩れる。そうすれば日本がG7から追い出される危険性もある。CIAが2000年12月に作り上げたレポートは「日本が2015年に先進国から滑り落ちる」と予言したが、安倍内閣が続く限りその予言は現実となるかもしれない。
世界一嫌われているプーチンとともに、安倍は目先の支持率ほしさに国際的孤立の道を進み出した。
※SAPIO2015年8月号
(NEWSポストセブン)
プーチンとの会談なんて無意味だろう。
ロシアの不利益になる北方領土返還はない。
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