ブルームバーグの集計によれば、東芝は2009年5月に3330億円の公募増資を実施し、国内外の機関投資家や個人に新株式の発行や株式の売り出しなどエクイティファイナンスを行ったほか、09年5月から13年12月の間に計6400億円の普通社債や劣後債などの有価証券を発行した。
東芝の会計問題を調査していた第三者委員会は20日、08年4月から14年12月までの間の意図的な利益かさ上げなど不適切会計から、1500億円超に上る決算の修正が必要だと発表した。金融商品取引法第172条の2によれば、虚偽記載などのある開示書類に基づいて有価証券を取得させた発行者は課徴金の対象となり、株券の場合は発行額の4.5%、債券は2.25%が科される。
早稲田大学法学学術院の黒沼悦郎教授は、ブルームバーグの取材に「虚偽の情報を提示して資金調達するのは詐欺行為そのものだ。有利な条件で資金調達をしていたことに問題がある」と述べた。その上で「金商法が守ろうとしている法益を侵害する」と指摘した。
利益操作と投資家の判断
東芝は過去最大の課徴金を科せられるリスクがある。ブルームバーグが東芝が不適切会計期間に発行した株式と債券それぞれの額と、金商法の算定基準で行った試算によると、最大で300億円規模の課徴金を科される可能性がある。証券取引等監視委員会は虚偽記載の悪質性や規模なども考慮し、課徴金の有無や金額を判断する。
早稲田大学の黒沼教授は計算方法や課徴金額について妥当だとしている。金融庁の箭野拓士広報室長はこれらについて「現段階でコメントできることはない」と述べた。
不適切会計の責任を取って21日に辞任した東芝の田中久雄前社長は同日夕の記者会見で、不適切な発行開示書類に基づいて有価証券が発行されたことについて、「投資家の判断を誤らせた可能性があることについて真摯(しんし)に受け止めている」と語った。
今回発覚した組織的な利益操作について、課徴金や今後生じる可能性のある法的責任について東芝にコメントを求めたが、槻本裕和広報担当は回答を控えた。また不適切会計の期間中、東芝の増資や社債の引受主幹事として携わった野村ホールディングスはコメントを差し控えている。
東芝の株価は22日、3日続伸で始まり前日比4.3円(1.1%)高の404.2円で午前の取引を終了していたが、報道が伝わった後に始まった午後の取引では下落に転じ一時2.7%安の389円を付けた。終値は6.8円(1.7%)安の393.1円。
「青天のへきれき」
課徴金額のこれまでの最高は、有価証券報告書などの虚偽記載で08年に納付を命じられたIHIの16億円だった。07年には当時の日興コーディアルグループが不正会計で5億円を科された。
いちよしアセットマネジメントの秋野充成執行役員は、東芝の水増し決算について「日本を代表する大きな企業がそんなことをやっているとは誰も思っておらず青天のへきれき。憤りを感じている」と述べた。また、投資家は会社が開示した有価証券届出書などは正しいという前提で投資しているとし、「あってはならない行為だ」と指摘した。
第三者委(上田廣一委員長)は76ページに及ぶ調査報告書の要約版で、東芝の不適切会計ではいくつかの案件については、「経営トップらが意図的な見せかけ上の当期利益のかさ上げの実行や費用・損失計上の先送りの実行又はその継続を認識」していたとし、組織的な関与だったと認定した。
東京芝浦本社で
東芝の田中前社長は21日の記者会見で、第三者委に認定された経営トップを含む組織的関与や意図的な利益のかさ上げなどの事実について「個別の内容であるため」として言及を避けた。東京都港区芝浦の本社で午後5時に始まった会見は、質問のため挙手する記者が残る中、同7時前に終了した。
田中前社長は会見で、これまでどのように不適切会計に関与したのか、その背景や具体的な詳細について語ることはなく、今後新経営陣の下で「株主、投資家などステークホルダーからの信頼回復に全力を尽くす」と繰り返した。
審判
しかし、資本市場で多額の資金を集め、世界で幅広く事業展開する上場企業の東芝が、今回発覚した不適切会計問題をめぐり、金融当局や国内外の投資家から審判を受けるのはこれからだ。
早稲田大学法学部の上村達男教授は、東芝の不適切会計について、刑事責任、民事責任、金融庁からの課徴金など全て該当する可能性があるとみている。その上で、意図的に行われていたとすれば、有価証券届出書や報告書虚偽記載など「金商法違反となる可能性は非常に高い」と分析、「誰が見ても粉飾決算の疑いが問題になっている」と指摘した。
金商法では有価証券届出書または報告書の虚偽記載の刑罰は、実行行為者に10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金、またはこれらが併科される。また、法人の場合は7億円以下の罰金が科せされる可能性がある。
記事についての記者への問い合わせ先:東京 日向貴彦 Takahiko Hyuga
,thyuga@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先:
Marcus Wright
平野和, 持田譲二, 青木勝 ,mwright115@bloomberg.net
(ブルームバーグ)
東芝の経営トッブは、懲役10年以下を知っていて、利益水増しをやったのだろうか。
無能な経営者の末路は、塀の中なんだろう。
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