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実際の漁獲量をはるかに上回る「熊本県産」アサリが全国に出回っていた。生産に携わる地元漁協の幹部は「生活と経営のためだった」と、偽装を黙認してきたと打ち明けた。店先からはアサリを撤去する動きが出始めた。後を絶たない生鮮食品の産地偽装。「一体何を信じて買えばいいのか」。消費者は憤った。 1日午後、熊本県北部。産地偽装の現場となった遠浅の干潟に人の気配はなかった。地元の漁協関係者は「ニュースで流れたからね。今、出荷すれば、偽物のお墨付きになる」と話し、肩を落とした。 「何十年も続いてきた。正直、いつかこうなることは分かっていた」。この海域を管理する漁協の男性組合長は西日本新聞の取材に偽装の実態を告白した。「以前から知っていた。漁業者も漁協も、食っていくためだった」
組合長によると、この漁場では業者が輸入した中国産や韓国産のアサリを1週間から半年間ほど養殖し、問屋の求めに応じて出荷する。組合長は「産地を偽装しているのは問屋で、漁協は直接関与していない。ただ短期間で市場に出すので違法だとは分かっていた」と明かした。 養殖に従事するのは地元漁業者でつくる組合。現場は漁協の管轄で、組合側から漁協に「漁場代」が支払われる仕組みだ。アサリの産地偽装は過去に何度も問題化したが、後を絶たない。組合長は「やめてしまえば漁民は生活に困り、漁場代を失った漁協は経営が立ちゆかなくなる」と語った。
「アサリだけの問題ではない」
熊本県は対応に追われた。会見した蒲島郁夫知事は終始厳しい表情で、県内の漁協が約2カ月間、出荷を緊急停止すると発表。市場に出さないことで、偽装品をあぶり出す狙いだが、当面、生活の糧を失う漁業者もいる。異例の措置には県産品全体のイメージ低下への危機感があった。 「熊本県産の農産物は買わない」「災害で支援したのに裏切られた」。報道を受け、県内外から厳しい意見が寄せられ、蒲島知事は焦りを募らせた。1月29、30日に担当職員らが集まった非公開の緊急会議で、蒲島知事は「もはやアサリだけの問題ではない」と、早急な対策を指示した。 今回の出荷停止により、今月11日から県産の生鮮アサリは出回らない。県は悪質な業者の刑事告発も検討する。「業者がつぶれようとも偽装をなくしたい。それぐらいの覚悟だ」。ある県幹部は語気を強めた。
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昔から報道されていたけど、産地偽装が延々と続いていたということですか。
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