代理人の弁護士が25日、横浜市内で記者会見し明らかにした。弁護士は「他に手段がなく、救済を求める当事者に酷だ」と決定を批判している。
決定は今年8月7日付。母親は異議を申し立てたが今月退けられ、同24日、娘が横浜地裁に即時抗告した。
代理人の南裕史弁護士によると、母親は1961年に前夫と結婚。九州で暮らしていたが、前夫から激しい暴力を受け、籍を抜かないまま80年に神奈川県内に移住した。82年に別の男性との間に娘が産まれた。
しかし、民法772条は「婚姻中懐胎した子は夫の子と推定する」と規定しており、母親は役所に出生を届けることで、娘の存在や自身の居場所を前夫に知られることを恐れ、提出しなかった。
前夫とは昨年、離婚が成立。今年6月の審判で実父が娘を認知したため、母親は出生届を出した。自治体は戸籍法の「生後14日以内」の規定を受け、簡裁に期間超過を通知し、簡裁は「届け出期間を過ぎた正当な理由がない」として過料5万円を決定した。
南弁護士は「母親にとっては当時、出生届を出さない手段しかなかった。救済を求める当事者に対して非常に酷な決定だ」と訴える。
法務省によると、9月10日現在、全国で665人の無戸籍状態が確認されている。決定について、棚村政行・早稲田大教授(家族法)は「やむを得ない理由から時間が経過しただけであり、行政窓口や簡裁の対応はあまりに形式的だ。期間を過ぎても出生届を出そうとする人の気持ちを抑制しかねない」と批判する。
会見に出席した娘は「決定の内容に大変ショックを受けている。両親や自身の気持ちを全くくみ取ってもらえていない。裁判所にはよく調べてもらい、無戸籍であることの過酷さを受け止めてほしい」と話した。
(読売新聞)
法律に則した判断だろうが、あまりに形式的で酷な決定だ。
法務省のトップが、英断を下すしかないだろう。
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