習近平国家主席との首脳会談で、オバマ米大統領は南シナ海で中国が進める人工島建設に「重大な懸念」を伝えたが、習氏は「島々は中国固有の領土」と反論し、平行線をたどった。
会談では、米中間のサイバー問題をめぐる合意など一定の意思疎通も図られた。だが、はっきりしたのは力ずくの海洋進出を進める中国が、米国の制止を拒み、南シナ海の埋め立てや軍事化を続けようとしていることだ。
地域の平和と安定を乱す中国に対し、日米両国は周辺国とも緊密な連携を図りながら、さらに警戒を強めなければならない。
南シナ海問題に関連し、両国軍用機の偶発的な衝突を回避する行動規範づくりが合意された。不測の事態を避ける上で必要な措置ともいえるが、それに人工島建設などを抑制する効果はない。
南シナ海の大半を領有するという中国の主張に根拠はない。人工島の面積は、すでに11・7平方キロに拡大している。
ハリス米太平洋軍司令官は、3千メートル級の滑走路3本が建設中で「中国が南シナ海を事実上、実効支配することになる」と議会公聴会で述べた。オバマ氏は「米国は航行の自由を行使し続ける」と語った。それには、この地域での抑止力をいかに高めるかが重要な課題となる。
安倍晋三首相もバイデン米副大統領との会談などを通じ、新安保法制に基づく具体的な同盟の強化策を論じる必要がある。
サイバー問題では、企業秘密を盗まないことを双方が確認し、閣僚級の対話メカニズムを創設する。米企業の知的財産などを狙う中国のサイバー攻撃を明確に位置付けた意味は小さくないが、合意の実効性は、中国側が具体的な行動をとるかにかかっている。
首脳会談に先立ち、習氏は米西海岸シアトルで、中国企業による米航空機300機の購入契約成立をアピールした。超大国の米国と台頭する中国が、良好な関係を維持するのは無論、望ましい。幅広い分野で両氏が一致点を見いだそうとした点は評価できよう。
習氏は米国との「新型大国関係」を改めて持ち出したが、世界の秩序を乱し、国際ルールを守らない国に「大国」を名乗る資格がないことを忘れてはなるまい。
(産経ニュース)
大国だから、何をやっても大丈夫と聞こえる。
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