全てを出した。13日目の稀勢の里戦で右膝を負傷した照ノ富士は、本割で過去4戦全敗の鶴竜を会心の寄り切り。「昨日は怖さがあった。(今日は)勝てるとは思っていなかった」。右足を引きずって懸命に土俵に上がる姿に、館内から「照ノ富士コール」が起こった。
優勝決定戦では力尽きてV逸だが、満身創痍(そうい)の戦いを終え「言葉にできない。うれしいのもあるし、悔しいのもある」と本音をこぼした。いつもはお金には目がない大関でさえ、史上最多タイとなる61本(手取り183万円)の懸賞を受け取ったことも「覚えてない」ほどだった。
右膝は限界寸前だった。この2日間、夜の睡眠時間は計4、5時間ほど。前夜もあらゆる治療を施したが痛みは増し、豪栄道に敗れた14日目に何も使わず上った階段も手すりを使い、歩く速度もかなり遅くなった。決定戦前のわずかな時間でも氷を患部に当てた。
意地を見せた12勝。横綱昇進の内規「2場所連続Vかそれに準じる成績」へ第1段階を突破したようにも見え、師匠でもある伊勢ケ浜審判部長(元横綱・旭富士)は「準ずる成績ではある。来場所優勝すれば」と九州場所での綱取りの可能性を示唆。だが、北の湖理事長は「優勝しなければ厳しい。12勝は軽い」と否定し、見解は真っ二つ。大関3場所通過となれば最速タイ。試練をひとつ乗り越えた23歳は、頂点へ向け大きな一歩を踏み出した。(安藤 宏太)
(スポーツ報知)
来場所、優勝で横綱だろう。
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