日本ハム斎藤佑樹投手(27)が、待望の今季初勝利を手にした。今季6度目の先発。要所で駆使するフォークがさえ、6回を5安打1失点に抑えてチームを3連勝に導いた。昨年9月29日西武戦以来、352日ぶりの白星を挙げ、この日のソフトバンクの優勝を阻止。クライマックスシリーズ(CS)での登板に向けて大きくアピールした。
笑顔でチームメートから祝福を受けた。「2桁勝利をしているピッチャーがたくさんいる中で、この時期の1勝。はたから見たら、たかが1勝かもしれないけど、僕にとっては、すごい大きな1勝。ホッとしました」。安堵(あんど)の気持ちが、あふれ出た。
この日も、フォークを軸に相手打線を手玉に取った。打者の様子をうかがいながら、大胆に初球からでもストライクゾーンに落とす。追い込めば低めに制球。直球も効果的に配し、打ち気の打者の気勢をそぎ続けた。「今日は三振を取れなくて、打たせて取る投球。野手が守ってくれて、助かりました」と、感謝した。
どん底を知り、ずぶとさが増した。12年日本シリーズで右肩を痛め、投げられない苦しみを覚えた。再起をかける地道なリハビリ、新たな投球フォーム固め。その過程は自身のスマートフォンに動画で記録した。「つなげたら、どれだけの長さになるんですかね」。メモリーの容量がいっぱいになれば、個人パソコンへデータを移動。「さすがに、もう見ない。でも、消せない」。苦悩の道のりをお守りのように手元に置く。
CSへ向けてのアピールも出来た。この日のソフトバンクの優勝を阻止することも出来た。4月2日ロッテ戦。4回までに8点の援護を受けながら、勝てなかったことが、今季の苦難の起点。「こういう投球を続けたい」。同じ舞台で得たリベンジの1勝を手に再出発する。【木下大輔】
(日刊スポーツ)
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