中国や世界経済の景気減速に加え、ガソリンエンジンの急速な進歩により、ディーゼル油は既に供給過剰に陥っている。折しも中東などでは最新鋭の製油所が稼働を始めたところだ。
ディーゼル油をめぐっては近年、大気汚染物質の排出が意識されるようになり、ガソリンよりも環境に良い燃料としての信頼性に徐々に疑問視されるようになっていた。特にディーゼルエンジンの方が多く普及している欧州でそうした懸念が強かったところに、VWの不祥事で一気に注目が集まった格好だ。
影響は自動車産業にとどまらない。
工業が急拡大して住宅やインフラ建築用のディーゼル需要が高まると期待されていた新興国での景気減速も、ディーゼル油の需要減少に拍車を掛けている。
例えばブラジルのディーゼル油輸入は8月に95%も減少した。
<ディーゼル車の将来>
アナリストによると、VWの一件を機に自動車の環境規制が厳格化され、自動車メーカーはそれを満たすための投資コスト増大に直面しそうだ。消費者側でもディーゼル車離れが起こる可能性がある。
より環境に良いハイブリッド車を開発するコストが禁止的に高いため、痛みを分け合おうと業界再編が起こる可能性も予想されている。
VWの不正が発覚する以前から、欧州ではディーゼル油をめぐる潮目が変わり始めていた。
欧州では過去20年、二酸化炭素ガスの排出が少なくガソリンに比べて燃費の良いディーゼルエンジンを政府が推奨し、2014年までには販売される乗用車の5割以上がディーゼル車になっていた。
しかし調査の結果、ディーゼル車が排出する汚染物質と呼吸不全との関連が示されたため、環境への優しさが疑問視されるようになった。
また、ディーゼル車はガソリン車などに比べて製造コストが高い。かたやガソリン車はここ数年で小型化が進み、パワーが増強され、汚染物質の排出量も減った。
欧州議会の環境委員会は23日、自動車の排ガス規制の順守基準を厳格化するルール策定の迅速化を決定した。
欧州は世界のでディーゼル車の約4分の3を占めているため、この地域での動向は鍵を握る。
<製油業界にも影響>
ディーゼル車の製造が停滞すると、世界の製油業界にも影響は及ぶだろう。同業界は過去10年間、数十億ドルを投じてアジアや中東でディーゼル油の生産に重点を置く巨大プラントを建設したり、欧米で設備を更新してきた。
ノルウェー石油大手スタトイルの資産最適化マネジャー、ラース・ソーストルム氏は最近の欧州製油会議で、「製油所と環境の観点から見ると、まったく間違った方向に事が進んでいた」と述べた。
(ロイター)
日本では、ディーゼル車はあまり普及していない。
ディーゼル車は、価格が割高で、長距離を走り続けなければ、ペイしない。
ハイブリッド車もそれ以上に割高だが、燃費がよいため、元が取れる。
米国の厳しい排ガス規制をクリアして、燃費がよくないと、ディーゼル車の未来はないのだろう。
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