「最近ではクラゲ様々。海が汚れた代わりにビゼンクラゲが大漁なんて、皮肉なもんだ」。7月下旬、日々の収支を記した帳簿をめくりながら、有明海沿岸のある漁師の男性は話した。漁期はおおむね夏いっぱいで、7月からお盆ごろまでは土日も関係なく、ほぼ毎日クラゲ漁に出たという。
中国で高級食材として珍重されているビゼンクラゲ。漁師から仲買人に売り渡すときの相場は、足の部分が1キロ300~350円、傘の部分が同30~50円。男性は1日の漁で足500キロ、傘700キロほどを取り、ざっと20万円ほどの収入になったという。
この男性によると、原因ははっきりしないが、有明海では2012年ごろからクラゲが特に大量発生するようになったという。財務省の貿易統計によると、門司税関からの食用クラゲの輸出量は、11年には統計に上がらないほどだったが、12年に2964トンに急増。13年には2564トン、14年は1434トンと推移し、この3年間の輸出総額は25億円以上になる。ほとんどが有明海産のビゼンクラゲとみられ、輸出先は中国が半分近くを占める。
急激に漁獲量が増えたビゼンクラゲだが、魚市場や地元の水産業者など、既存の流通網は中国とのパイプが乏しい。そのため、クラゲの加工・輸出を担う中国系の業者と漁師側の間を取り持とうと、新興の仲買人がこぞって押し寄せた。
漁師らが所属する漁協に直接訪れ、「うちで買わせてくれ」と直談判する仲買人も。有明海沿岸のある漁協幹部は、便宜を図ってもらおうとする仲買人に現金を差し出され、拒んだこともあったと打ち明ける。
佐賀県では今年6月、「1千万円預けてくれたらクラゲを全部卸す」などと言って、クラゲ加工輸出業者の男性から1千万円をだまし取ったとして、仲買人をしていた指定暴力団道仁会系組員が詐欺容疑で県警に逮捕される事件があった。組員は、約束したクラゲの一部は業者に納めていたといい、捜査関係者は、ほかにも暴力団がクラゲの売買に介入し、組の資金源にしている可能性があるとみている。
(朝日新聞デジタル)
クラゲに暴力団介入は、おもしろい。
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