【ワシントン和田浩明】米国防総省の情報収集機関である国家安全保障局(NSA)は2009年、中国人民解放軍でサイバー攻撃やスパイ活動を行う総参謀部第3部所属の部隊が米政府に攻撃を仕掛けた証拠を入手していた。米中央情報局(CIA)元職員エドワード・スノーデン容疑者が持ち出していたNSA内部文書を毎日新聞が分析した結果、明らかになった。サイバー空間での米中両国の攻防の実態が内部文書から浮き彫りになるのは極めて珍しい。
オバマ米大統領は25日にワシントンで行う中国の習近平国家主席との首脳会談でサイバー問題が「最大の議題の一つ」と明言。中国をけん制する形で米国が高いサイバー活動能力を持っていると強調している。内部文書は、米国がこうした能力を実際に行使し、中国に反撃していることを示すものといえる。
内部文書は10年6月の日付で「機密」指定。中国を名指しして米国や外国政府に情報収集活動を行っていると指摘した。詳細は不明だが、中国の標的には日本も含まれている。英語圏のイギリス、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドだけを配布先としており、日本政府には知らされなかったとみられる。
文書によると、総参謀部第3部所属の部隊が、米軍の世界的な兵站(へいたん)や輸送活動を統括する輸送軍のコンピューター網の管理者パスワードや内部プログラム情報など2500以上のファイルを盗み出した。
NSAは対抗手段としてサイバー攻撃に使われたコンピューター端末5台に入り、米政府機関に「作戦」を仕掛けたデータを入手したとしている。
さらに部隊のリーダーと見られる人物が個人的に使っているコンピューター端末にも侵入し、複数の米政府機関や外国政府などへの攻撃を行ったことを示す情報やホワイトハウスや米政府高官をサイバー攻撃の標的にする事前調査を行っていたことも判明したと指摘している。
文書でサイバー攻撃への関与が指摘された総参謀部第3部については、米司法省は昨年5月、同部傘下の「第61398部隊」の将校5人を、米国企業から原子炉関連情報などを盗み出す産業スパイ行為などを行った罪で起訴したと発表していた。
中国側は関与を全面否定し、身柄引き渡しを拒否している。
(毎日新聞)
おもしろい。
サイバー戦で、お互いに仕掛けているのだろう。
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