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2015年9月15日火曜日

<政治資金虚偽記載公判>地元で小渕氏不信感 被告同情論も

 小渕優子前経済産業相(41)を巡る政治資金規正法違反事件で、前中之条町長の折田謙一郎被告(67)が14日、東京地裁での初公判で起訴内容を全面的に認めた。群馬県中之条町では、説明責任を果たさない小渕氏に不信を募らせる声が出る一方、「秘書の本分」かのように刑事責任を引き受けた格好の折田被告に対しては同情論も聞かれた。

 折田被告の町長時代に副町長を務め、折田被告の辞職に伴う昨年11月の出直し町長選で初当選した伊能正夫町長は、毎日新聞の取材に「(政治資金の)経理は国民の税金が絡むことなのだから、しっかり管理してほしかったという気持ちは今でもある。ただ、私としては、預かる町政に全力を尽くすだけ」と言葉を選んで語った。

 折田被告は起訴前から虚偽記載の容疑を認めていたが、大沢正明知事は9日の定例記者会見で「潔白を信じています」と話した。大沢氏が2007年の知事選で現職らを破って初当選した際には、小渕氏の秘書だった折田被告が大沢陣営の選挙戦を取り仕切り、当初の劣勢をはね返したとされる。

 小渕氏の政治資金不正処理問題が明るみに出た昨秋、折田被告は「すべて私の責任です」と述べ、町長を辞職した。初公判が開かれた14日、町役場を訪れていた町民の男性(74)は「折田さんが町長を辞めると聞いたときは驚いたが、私らにはもう過去の話。小渕さん(恵三元首相)は地元によくしてくれたし、折田さんには同情している人も多いんじゃないか」と話した。

 小渕氏は昨年10月の経産相辞任に際し、記者会見で「説明責任をしっかり果たしたい」と明言した。しかし、年末の衆院選でも、今年4月に折田被告が在宅起訴された際にも、折田被告が起訴内容を認め禁錮刑を求刑された14日にも「説明」はなかった。中之条町に住んで50年以上という主婦(76)は「町長時代も小渕さんのお金を管理していたと聞いてあきれた。お金を管理させていた小渕さんに責任はないのか。町民をばかにしている」と疑問を呈した。

 東京地検特捜部は小渕氏本人を「容疑不十分」で不起訴にした。これに対し、小渕氏らを特捜部に告発していた「市民オンブズマン群馬」が不起訴は不当として検察審査会に審査を申し立てている。

 高崎市棟高町にある小渕氏の高崎後援会事務所。昨年10月の東京地検の家宅捜索の際には、テレビ各局の中継車が並んでいたが、折田被告の初公判が開かれた14日午後には訪れる支持者の姿もなく、ひっそりと静まりかえっていた。【高橋努、増田勝彦】
(毎日新聞)

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