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2015年9月15日火曜日

「荒川決壊」難しい避難勧告

◆被害想定の北区「タイミング何千通り」

 台風などで豪雨災害の危機が迫る時、被害を最小限に抑えるにはどうすればいいか。北関東や東北の記録的豪雨では、自治体が避難を呼びかけたタイミングや対象地域によって住民の対応が遅れたと指摘する声もあがる。都内でも対策が進む一方、避難をめぐり自治体は頭を悩ませている。

 200年に一度の大雨で北区の荒川右岸が決壊すれば、死者数は最大2千人――。国が2008年に出した被害想定で、そんなケースが示された23区北部。

 台風18号が日本列島に接近していた7日以降、国土交通省荒川下流河川事務所(北区)は「最悪の場合、12日に北区で荒川が決壊」と仮定し、排水ポンプ車や水門の動作確認に追われた。

 7日午後1時を「決壊の120時間前」として国や自治体、交通機関が連携を開始▽72時間前には水門を点検▽48時間前には人員配置の確認▽24時間前には雨量や水位の情報交換▽10時間前には避難所を開設――など、250以上の項目を時系列でこなす。「タイムライン」と呼ばれる防災行動計画だ。今年5月、全国初の大規模な計画としてこの地域で試行された。

 茨城県常総市で鬼怒川の堤防が決壊したのは、荒川の決壊を仮定した12日より2日早い10日だった。同事務所の担当者は「状況に合わせ、時間軸を縮めて対応する」と話す。

 国の被害想定で死者数に大きく関わるのは浸水地域での避難率だ。避難率が0%の時は死者2千人の想定が、避難率が80%に上がれば400人まで減る。タイムラインでは、仮定する決壊時間の5時間前には避難勧告を発表・伝達することになっている。

 ただ、実際に避難勧告や指示を出すのは自治体だ。北区の地域防災計画には、荒川の水位が基準となる水位より7メートル高くなると避難勧告を出すという目安はあるものの、水位の変化や雨量、昼か夜かなど、「勧告のタイミングは何百、何千通りもある」(区危機管理室)。避難指示は数値や文書化された基準はなく、住民の命に危険が及ぶ可能性がある時に区長が判断するとしている。

 避難先は自宅の2、3階や避難所などを想定しているが、数十万人レベルで住民に一斉に避難をどう呼びかけるかも課題だ。タイムラインに具体的な伝達手法は定められていない。区の防災緊急メールに登録している人は1万人で、区防災課の広報車は1台だけ。警察や消防、メディアの協力は欠かせない。

 関根和孝・区防災課長は「自力で避難できない人たちにどう逃げてもらうか、いま検討している段階」と話す。
(浦島千佳、別宮潤一)

◇進む護岸整備66%

 都内の川で洪水が起きないようハード面の対策も進められている。

 都によると、中小河川の川幅を広げたり川底を掘り下げたりする護岸整備の状況は、今年3月末時点で66%。大雨の時に川の水を引き込む調節池は11河川25カ所に計212万トン分を備えているが、さらに8カ所を整備する予定だ。

 普段の川の状況や洪水などの情報は都の防災ホームページやツイッターで公開している。また、今月から配布した防災ブック「東京防災」には大雨の時の注意点などが記されている。

 国は200年に一度の大雨でも決壊しない高規格堤防(スーパー堤防)の事業を江戸川や荒川、多摩川などで進めている。ただ、巨額の費用と時間がかかり、一時移転が必要な住民も多く、賛否の声があがっている。
(松沢憲司)

 荒川決壊で、8メートル水位が上昇し、東京壊滅か。

 意図的に堤防が破壊されても、大変なことになってしまう。

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