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2015年9月13日日曜日

消費税 <軽減税率>欧州の工夫 食料品は大幅に低く設定

 2017年4月に消費税率が10%に引き上げられるのを前に、政府・与党内で低所得者対策の議論が本格化しているが、日本の消費税にあたる付加価値税(VAT)を1960年代から導入している欧州では、食料品など生活必需品の税率を低く設定する「軽減税率」が広く定着している。低所得の家計は一般的に消費に占める生活必需品の割合が高くなるため、負担を減らすことが目的だが、産業政策やライフスタイルの違いなどから、国ごとに工夫がこらされている。

 欧州連合(EU)は加盟各国に対し、VATの標準税率を15%以上とするよう義務づける一方、1~2種類の軽減税率(5%以上)と、特例として超軽減税率とゼロ税率も認めており、ほぼ全ての加盟国が軽減税率を取り入れている。食料品の場合、英国は標準税率の20%に対して0%。その他の主要国では、フランスが20%に対し5・5%、ドイツが19%に対し7%などと各国が大幅に低く設定している。10~12年の債務危機の際、欧州各国は税収確保のためにVATの税率を引き上げたが、国民の負担感に配慮して、軽減税率は据え置いた。

 軽減対象は、ライフスタイルの違いや産業政策などの観点からも、各国で異なる。例えばフランスでは、バターは軽減税率が適用されるが、マーガリンは適用されておらず、国内の酪農農家を保護するためと言われている。「外食か、家で食べるのか」で分けている国もあり、ドイツでは店内で食べるハンバーガーは標準税率がかかるが、持ち帰ると7%しかかからない。同じ持ち帰り食品でも、英国ではスーパーの総菜は軽減税率が適用されるが、温かいハンバーガーを買って持ち帰ると20%の標準税率がかかる。

 食料品以外でも、欧州では、大半の国が医療費や教育費、子ども服の税率を軽減している。新聞、雑誌、書籍に対する軽減税率の導入も一般的だ。EU加盟国では英国、ベルギー、デンマークで新聞に対するVATの税率はゼロ。フランスは2・1%、ギリシャは6%に設定するなど、食料品より低い税率設定にしている国も多く、新聞に対する軽減税率の導入国は、EUで25カ国に達している。

 背景には、「多くの人が新聞や本を読むことが、民主主義を維持する上で不可欠であり、できるだけ低価格で提供されるべきだ」という考えが浸透していることがある。例えば英国では18世紀初め、新聞に「印紙税」をかけ、支配階層への批判を抑え込もうとした時代があった。市民の強い反対から1885年に新聞への課税が廃止され、現在まで「知識に課税しない」原則が維持されている。

 フランスでは人権宣言に基づいて1881年に「出版自由法」が制定され、「活字メディアは歴史的、文化的遺産」として手厚く保護されている。ドイツには「新聞は思索のための食料」という言葉があり、知識や情報を獲得する新聞や書籍は、食料と同じく人が生きていく上で必需品という考え方がある。

 一方で、軽減税率を巡っては、どの商品を軽減するかの対象の線引きが難しいことや、販売業者の事務作業が煩雑という問題がある。EUは、加盟国間で同一品目・サービスは同一税率を適用するよう求める指針を出すなど、簡素化を進めている。【ロンドン坂井隆之、写真も】

 ◇欧州主要国の付加価値税(VAT)の税率

国名    標準 食料  新聞  書籍

英国    20  0   0   0

フランス  20 5.5 2.1 5.5

ドイツ   19  7   7   7

イタリア  22  4   4   4

オランダ  21  6   6   6

ベルギー  21  6   0   6

スペイン  21  4   4   4

デンマーク 25 25   0  25

※数値は%。9月1日現在、欧州委員会調べ
(毎日新聞)

 消費税20%前後は高いと思うかもしれないが、たぶん、日本の物価の方が高いだろう。

 なぜなら、日本は凄まじい関税で、農産物・食肉・乳製品などの価格が異常に高いため。

 昔の物品税から変化した消費税を、生活必需品に課すのは、反則技で、庶民に優しい政策にすべきだろう。

 

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