欧州連合(EU)は加盟各国に対し、VATの標準税率を15%以上とするよう義務づける一方、1~2種類の軽減税率(5%以上)と、特例として超軽減税率とゼロ税率も認めており、ほぼ全ての加盟国が軽減税率を取り入れている。食料品の場合、英国は標準税率の20%に対して0%。その他の主要国では、フランスが20%に対し5・5%、ドイツが19%に対し7%などと各国が大幅に低く設定している。10~12年の債務危機の際、欧州各国は税収確保のためにVATの税率を引き上げたが、国民の負担感に配慮して、軽減税率は据え置いた。
軽減対象は、ライフスタイルの違いや産業政策などの観点からも、各国で異なる。例えばフランスでは、バターは軽減税率が適用されるが、マーガリンは適用されておらず、国内の酪農農家を保護するためと言われている。「外食か、家で食べるのか」で分けている国もあり、ドイツでは店内で食べるハンバーガーは標準税率がかかるが、持ち帰ると7%しかかからない。同じ持ち帰り食品でも、英国ではスーパーの総菜は軽減税率が適用されるが、温かいハンバーガーを買って持ち帰ると20%の標準税率がかかる。
食料品以外でも、欧州では、大半の国が医療費や教育費、子ども服の税率を軽減している。新聞、雑誌、書籍に対する軽減税率の導入も一般的だ。EU加盟国では英国、ベルギー、デンマークで新聞に対するVATの税率はゼロ。フランスは2・1%、ギリシャは6%に設定するなど、食料品より低い税率設定にしている国も多く、新聞に対する軽減税率の導入国は、EUで25カ国に達している。
背景には、「多くの人が新聞や本を読むことが、民主主義を維持する上で不可欠であり、できるだけ低価格で提供されるべきだ」という考えが浸透していることがある。例えば英国では18世紀初め、新聞に「印紙税」をかけ、支配階層への批判を抑え込もうとした時代があった。市民の強い反対から1885年に新聞への課税が廃止され、現在まで「知識に課税しない」原則が維持されている。
フランスでは人権宣言に基づいて1881年に「出版自由法」が制定され、「活字メディアは歴史的、文化的遺産」として手厚く保護されている。ドイツには「新聞は思索のための食料」という言葉があり、知識や情報を獲得する新聞や書籍は、食料と同じく人が生きていく上で必需品という考え方がある。
一方で、軽減税率を巡っては、どの商品を軽減するかの対象の線引きが難しいことや、販売業者の事務作業が煩雑という問題がある。EUは、加盟国間で同一品目・サービスは同一税率を適用するよう求める指針を出すなど、簡素化を進めている。【ロンドン坂井隆之、写真も】
◇欧州主要国の付加価値税(VAT)の税率
国名 標準 食料 新聞 書籍
英国 20 0 0 0
フランス 20 5.5 2.1 5.5
ドイツ 19 7 7 7
イタリア 22 4 4 4
オランダ 21 6 6 6
ベルギー 21 6 0 6
スペイン 21 4 4 4
デンマーク 25 25 0 25
※数値は%。9月1日現在、欧州委員会調べ
(毎日新聞)
消費税20%前後は高いと思うかもしれないが、たぶん、日本の物価の方が高いだろう。
なぜなら、日本は凄まじい関税で、農産物・食肉・乳製品などの価格が異常に高いため。
昔の物品税から変化した消費税を、生活必需品に課すのは、反則技で、庶民に優しい政策にすべきだろう。
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