投手と打者との二刀流を続ける日本ハムの大谷翔平選手をめぐり、大リーグ関係者の間で獲得に向けた水面下の動きが早くも活発化している。大谷の登板日には多くの関係者が集結。シーズン中にもかかわらず、大物代理人が右腕目当てに来日した。活発化の背景には、2016年オフに見直しが迫る現行のポスティングシステム(入札制度)の存在がありそうだ。
東京ドームで2日に行われた日本ハム-ロッテの一戦。先発マウンドに上がった大谷を目当てに、ヤンキースなど大リーグ球団関係者約20人がバックネット裏に集結。スピードガン片手に、21歳の一挙手一投足を細かくチェックする光景が恒例となっている。
今月上旬には、多くの大リーグ選手を顧客に持つ代理人のスコット・ボラス氏が来日。ボラス氏は松坂(現ソフトバンク)のレッドソックス入団時に代理人を務めたことでも知られ、9日には日本ハムの本拠地・札幌ドームにも足を運んだ。表向きは日本ハム球団幹部への表敬訪問で、大谷との直接の接触はなかったが、大リーグ評論家の福島良一氏は「大谷に対するボラス氏の明らかな意思表示」と指摘する。
3年目の大谷が海外フリーエージェント(FA)権を取得できるのは、順調でも6年後。にもかかわらず、大リーグ側の動きが活発化している背景として、福島氏は「今後見直しが予定されている入札制度が影響しているのでは」と推測する。
現行の入札制度は2013年12月に改正。移籍希望選手の所属球団に対する譲渡金の上限が2千万ドル(約24億円)に設定され、2016年オフからは制度自体が毎年見直される。米大リーグ機構(MLB)側が今後、譲渡金の撤廃などを求める可能性があり、日本の所属球団への“見返り”が厳しくなることが予想され「入札制度の動向次第では(大谷の大リーグ挑戦で)1、2年後に何らかの動きがあってもおかしくない」(福島氏)という。
7月には米主要紙「ウォールストリート・ジャーナル」でも特集が組まれるなど米国内でも注目度が高まっている大谷。21歳の逸材をめぐる大リーグ関係者の水面下の動きは、さらに熱を帯びそうだ。(浅野英介)
(産経新聞)
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