ページビューの合計

2015年9月10日木曜日

社説:軽減税率 給付金では代替できぬ

 政府が、生活必需品の消費税率を低く抑える軽減税率の代わりに、低所得者に給付金を配る案を検討している。麻生太郎財務相は「複数の税率を入れるのは面倒くさい」と、その理由を説明した。

 しかし、給付金方式では消費者の痛税感を和らげる効果は限られ、与党合意にも反する。今後も消費増税が避けられない財政事情の中で国民生活を守るためには、やはり軽減税率が欠かせない。

 財務省が検討しているのは、2017年4月に消費税が10%へ引き上げられるのに伴って、飲食料品に軽減税率を適用する代わりに、増税分に相当する給付金を低所得世帯に支給するという案だ。

 軽減税率を導入するには、どの品目を対象にするかという線引きや、経理事務の負担をどう軽減するかといった問題を解決する必要がある。今回の案は複数の税率を用いないため、そうした問題を回避できる。麻生財務相が「面倒くさくないようにするところが手口だ」と説明したのは、そういう意味だろう。

 しかし、自民、公明両党は13年に軽減税率の導入に合意し、14年の衆院選の共通公約でも導入を目指す方針を明記していた。税率10%への引き上げ時期が1年半先送りされたことで制度設計を検討する時間的な余裕もできたはずだ。公約やこれまでの検討過程をないがしろにして、面倒だからやめたでは済むまい。

 そもそも給付金方式では、消費者が物を買ったりサービスを受けたりするときの税負担が軽くなるわけではない。一部は後から補填(ほてん)されると言われても、消費意欲は高まらないだろう。

 政府は消費税率を8%に引き上げた際、「簡素な給付措置」として低所得者に1万〜1万5000円の給付金を配布したが、個人消費の底上げにはつながらなかった。そうした現実を直視すべきだ。

 消費税は社会保障の財源になる。社会保障費は高齢化に伴って膨らみ続けるため、巨額の財政赤字を抱える国の台所事情を考えると、今後も税率の引き上げは避けられないだろう。そして消費税の負担は、生活必需品を購入する割合が高い低所得者ほど重く感じる。税率が高くなるほどその影響は深刻になるはずだ。

 そうした低所得者対策に重点を置きつつ、個人消費への悪影響を抑えるためには給付金よりも、代金支払時の税負担減を実感できる軽減税率の方が適している。

 軽減税率に関する与党協議は週明けに再開される。財務省は給付金案を提示する予定だが、10%時の軽減税率導入という国民への約束を果たすことが政治の責任だ。
(毎日新聞)

 面倒でも、諸外国は、食料品などの生活必需品について、買い物の際に受けられる、非課税か低率の軽減税率を採用している。

0 件のコメント:

コメントを投稿