17日の今季終戦後に辞意を表明していた原監督は19日、東京・大手町の読売新聞東京本社を訪れて渡辺恒雄最高顧問(89)、白石興二郎オーナー(69)と会談。退任を了承された席で、後任人事について意見交換を行った。
会談後の会見で白石オーナーは「後任監督に何を求めるかというと、原野球を継承してくれる人。新しい風を吹き込んでくれる人。強い意志と努力をしてくれる人」と人物像を語った。その上で「監督の知恵も借りながら人選を進めないといけないが、原監督に代わる名監督は簡単には見つからない。ファンの納得する形、この人ならという形で後任を決めたい。できるだけ早く絞って、非公式な形で打診を進めたい」との考えを示し、「候補者がたくさんいるわけではない。自ずと絞られるのではないか」と付け加えた。
球団からラブコールを受け続けている米在住の松井氏は「もうしばらくニューヨークで米球界に関わっていきたい」との意思を今夏に渡米した球団幹部が確認しており除外。「原野球を継承」する上で川相昌弘ヘッドコーチ(51)は適任だが、近年のチーム力を低下させた首脳陣の中核でもある。「新しい風を吹き込む」点では物足りなかった。
OBで野球解説者の江川氏も有力候補だったが難航。他球団に目を向ければ、阪神が金本知憲氏(47)、横浜DeNAがアレックス・ラミレス氏(41)と集客力のある球団OBの新監督就任が相次ぎ、来季のセ・リーグの指揮官は巨人を除いて全員40代に様変わりするなど、世代交代の大波も押し寄せていた。松井、江川氏の招へいに現段階では可能性がみえないこともあり、巨人も新時代へとアクセルを強く踏み込むことを決断。機が熟したとは言いがたいが、来季41歳を迎える生え抜きスターの高橋由に白羽の矢を立てた。
新監督誕生への最大の障壁は、本人の現役への強いこだわりだ。今季は兼任コーチとしてコーチ会議に加わるなど、着々と敷かれる“レール”を意識しながら代打の切り札としてグラウンドで奮起。打率・278、5本塁打、21打点で代打の打率は・395と「天才打者」の健在ぶりをアピールし、来季に向けた自主トレの準備にも取りかかっていた。
だが本人の意思だけではどうにもならないことがあるのは、家族や慶大監督らの強い勧めで意中の球団でない巨人の逆指名に至った、22歳の秋に痛感している。自らの後継者に指名した原監督は、退任会見で「監督は自分がやりたくてもやれない。まわりのある種、他動的な部分、指名がないとできない仕事でもあります」と話した。
親会社、読売新聞社で慶大閥は大きな力を持つ。球団でも今春に就任した堤GMをはじめ、1軍には上田運営部長、2軍にも大森育成ディレクターと要職に慶大野球部OBがズラリ。外堀は埋まっている。高橋由の他動的な野球人生にあって、就任受諾は明白なる宿命だ。
■高橋 由伸(たかはし・よしのぶ) 1975年4月3日、千葉県生まれ。桐蔭学園高から慶大に進学し東京六大学リーグ新記録の通算23本塁打を記録。98年に巨人を逆指名しドラフト1位で入団。2004年アテネ五輪出場。ゴールデングラブ賞7度、ベストナイン2度。規定打席数到達は07年が最後。プロ18年目の15年は選手兼打撃コーチを務め、代打での打率は・395。通算1753安打、打率・291、321本塁打。今季推定年俸1億5000万円。
(夕刊フジ)
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