中東などから5~6日、ドイツ南部ミュンヘンに約2万人の難民や移民が押し寄せ、ドイツのメルケル首相が対応に苦慮している。地元の警察当局からは「対応は限界」との悲鳴が上がり、連立与党からも難民に寛容な姿勢を取るメルケル氏への批判が出始めた。難民排斥を訴える極右勢力の反発もあり、メルケル氏は難しい政権運営を迫られそうだ。
▽学校への交通費も
ドイツ公共放送ARDが3日に公表した世論調査では、22%が難民受け入れを増やすべきだと回答。難民に寛容な政策を念頭に、37%が現状を維持するべきだと答えた。受け入れを減らすべきだとしたのは33%だった。
寛容な世論の背景には、第2次大戦後に失った旧東方領土から追放された多くのドイツ人を受け入れた歴史や、ユーゴスラビア紛争で約43万人の難民を保護した実績がある。基本法(憲法)では政治的迫害を受けた者の保護を定めている。高齢化が進み、労働市場で約60万人の人手が不足、難民らを雇用できれば経済的なメリットもある。
1年前にドイツに来たシリア難民の男性は「難民と認められれば、ドイツ語学校や専門学校の費用を負担してもらえ、交通費も出る。家賃に対する公的支援がある。ドイツ人家庭が部屋を提供してくれる場合もある」と手厚い政策を喜んだ。
▽一貫性
だが、週末のミュンヘンの中央駅への難民殺到で雰囲気は変わりつつある。報道によると、メルケル首相率いるキリスト教民主同盟と統一会派を組む与党でミュンヘンなどが地盤のキリスト教社会同盟のゼーホーファー党首は6日、ドイツは欧州への難民のほとんどを受け入れていると主張。「これでは持ちこたえられない」と訴えた。
メルケル氏がハンガリーのオルバン首相に対し、首都ブダペストの駅前に集まった難民らをドイツに向けて通過させないよう要求しながら、その後 一転して受け入れに同意したのが難民らの大量流入の原因だと指摘。「一体どっちなんだ」と問い掛け、一貫性がないと批判した。
ことし中にドイツに流入する難民は、人口の約1%に当たる計約80万人と予想される。難民らの急増でドイツ社会が大きな影響を受けるのは必至。極右を中心に受け入れには強い反発もあり、各地で難民宿泊施設などへの放火事件が相次ぎ、不穏な空気が漂っている。(ミュンヘン共同=桜山崇、橋本新治)
(共同通信)
安い労働力を確保できるから、受け入れなんだろう。
ドイツの経済発展は、移民や外国人労働者が多いことと彼らの賃金が安いことが貢献している。
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