現職警官殺人逮捕 埼玉で交番勤務、妻も警官31歳

　埼玉県朝霞市で今月４日、無職寺尾俊治さん（５８）が自宅で殺されているのが見つかった事件があり、県警は１２日、殺人と住居侵入の疑いで、浦和署地域課の巡査部長中野翔太容疑者（３１）を逮捕した。調べに「男性の首をロープで絞めたのは間違いない」と供述する一方、殺意を否認している。

　県警は、現場で採取した遺留物のＤＮＡ型が中野容疑者のものと一致したのを確認。寺尾さん宅のインターホンのカメラには、よく似た男が写っていた。今後、動機解明に向けた捜査を続ける。

　逮捕容疑は、２日から４日までに、寺尾さん方に侵入し、首を圧迫して殺害した疑い。現場では、寺尾さんが普段使っていた２つ折りの携帯電話がなくなっていることも分かった。

　県警によると、中野容疑者は今年３月まで朝霞署に所属。昨年１０月に寺尾さんの父が亡くなった際、遺体の検視のため寺尾さん宅を訪れたことがあった。県警には０２年に就職、本部の捜査１課で勤務するなどしたが、過去に２度の処分歴があるという。

　浦和署では交番勤務で、３日が宿直明けの非番だった。４日以降は申請済みだった夏休みを取り、１１日は朝から署に出勤。県警が午後に任意同行を求めて事情聴取していた。

　中野容疑者の自宅近くに住む６０代の女性は「子煩悩で、いいお婿さんだったのに信じられない」。中野容疑者の妻も警察官で、妻の実家に入ったという。昨年夏には、２人の子どもと、妻の４人で仲良さそうに祭りに来ていたという。また、約８年前に結婚式に呼ばれたという６０代の男性は「地主で、お金に困るような家ではないのに」と話した。

＜現職警察官による主な事件＞　　　　

　◆連れ去り　０４年２月、女児を連れ去ったとして未成年者略取の疑いで、福岡県警巡査の男が佐賀県警に逮捕。その後、福岡、佐賀両県でも未遂を含む４件の女児連れ去り事件を起こしていたことが判明、うち１件は警察に採用前だった。

　◆射殺　東京では０７年８月、警視庁立川署の巡査長の男が知人女性にストーカー行為を繰り返した末に女性を射殺。その後、拳銃自殺した。

　◆殺害　今年１月、交際していた２３歳の女性を殺害したとして大阪府警が府警阿倍野署の巡査長の男を逮捕。

　◆強姦　今年８月３１日、２０代の女性をホテルで乱暴したとして集団強姦と監禁容疑で大阪府警の元警察官が逮捕され、その後、仲間の府警箕面署の巡査部長も関与したとして、同容疑で逮捕。

（日刊スポーツ）