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2015年9月9日水曜日

難民受け入れ渋る湾岸諸国に批判、日本に負担求める声も


 (CNN) 欧州各国がシリアから押し寄せる大量の難民への対応に苦慮する中、クウェート、バーレーン、アラブ首長国連邦(UAE)といった裕福なペルシャ湾岸諸国が難民を受け入れていないことに対して批判が強まっている。国際団体は日本などの先進国にも受け入れを求めた。

 批判に対してサウジアラビア、クウェート、バーレーン、カタール、オマーン、UAEはそれぞれ、難民支援のため国連に多額を拠出していると反論する。UAEは5億3000万ドル(約637億円)を超す資金援助を行ったと説明、シリア人はビザ発給を受けて湾岸諸国にも滞在していると強調した。さらに、難民を受け入れていない富裕国は湾岸諸国にとどまらないとも主張している。

 国際人権団体アムネスティ・インターナショナルは難民を受け入れていない他の富裕国として、ロシア、日本、シンガポール、韓国などを挙げた。国連は、すべての先進国に対して受け入れを求めている。

 湾岸諸国はシリアと政治的な利害関係があり、アラビア語を公用語とするなど共通点も多い。豊かさでは、難民を受け入れている周辺国のトルコやレバノン、ヨルダンといった国を上回る。

 サウジアラビアとカタールについては、シリアの反政府勢力への資金援助を通じて内戦に関与してきた経緯から、内戦の被害者を受け入れる義務があると指摘する専門家もいる。

 中東周辺国がこれまでに受け入れた難民の数は、確認されているだけでもトルコが約200万人、レバノン110万人超、ヨルダンは少なくとも62万9000人、エジプト13万人、今も混乱が続くイラクでさえ25万人近くに上る。

 UAE開発・国際協力省の関係者は、ヨルダンの難民キャンプや病院に資金を援助するなど、近隣国と連携していると話す。またサウジアラビアのサルマン国王は5月、イエメンへの人道施設設置を指示した。国連によると、難民のための援助額が最も多い国は米国を筆頭に、英国、クウェートと続く。UAEは国内総生産(GDP)の総額5700億ドルのうち47億ドルを拠出している。

 湾岸諸国が受け入れに消極的な一因には、難民という概念自体が存在しないという事情がある。

 サウジアラビア、クウェート、バーレーンなどの湾岸諸国は、1951年の国連難民条約に加盟していない。同条約では難民の定義を定め、守るべき権利や受け入れ国の法的義務について規定。しかしこの条約に加盟していない湾岸諸国では、たとえ戦争の被害者であっても、通常の審査を経てビザを取得する必要がある。

 また、湾岸諸国は治安が良く、難民問題への介入を深めることでその安定が脅かされるリスクへの懸念も指摘されている。
(CNN)

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