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7月中旬、大阪府河内長野市滝畑の河内長野中央霊園に郵便局の配達員が段ボールを運んできた。品名は「供養品」。中には、骨つぼや火葬されたことを証明する書類などが入っていた。
「予想よりはるかに需要があります」と話すのは、同霊園の田村一央(かずお)代表(67)。昨年12月の受け入れ開始から今月25日までに65件の申し込みがあったという。
同霊園では、専用の梱包(こんぽう)キットに遺骨の入った骨つぼや法律で定められた埋葬許可証などを同封し、料金3万円を支払えば、霊園内の合祀(ごうし)墓で永代供養する。
こうした“手軽さ”が求められ、送骨は各地で増えているという。全国17寺院への送骨をインターネットで仲介する「プロ」(名古屋市)には平成26年中、前年比3割増の200件近くの申し込みがあった。また21年から送骨を受け入れている高岡大法寺(富山県高岡市)は「最近は各地で送骨が広まったため、受け入れ件数は落ち着いている」という。
ただ、遺骨を郵送する行為に違和感を覚える人も少なくない。
宅配便大手の佐川急便とヤマト運輸では遺骨の引き受けを拒否している。「紛失した場合に対応できない」(ヤマト運輸)ことなどが理由だ。一方、ゆうパックの日本郵便は「運送に適した状態であれば拒絶はしない」としている。
では、法的な問題はないのだろうか。
遺体の火葬や埋葬の方法などは墓地埋葬法で定められており、自由に行うことはできない。家族問題に詳しい田村勇人弁護士(第一東京弁護士会)は「法律上、遺骨を送ることを禁止する法律はない。送られた遺骨も、墓地埋葬法で許可を受けた墓地などで埋葬されるため同法には抵触しないし、遺骨を放置したり捨てたりすることを禁じた刑法の死体遺棄罪にも該当しない」としている。
(産経新聞)
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